鬱治った直後賃貸契約した結果。

「一人暮らしがしたい

 

 

極寒の1月

 

 

僕はそう思うようになった

 

 

 

 

「一人暮らし 必要なもの

 

 

スマホ片手に指をなぞる

 

 

誰も知らない、誰も気づかない部屋の中で

 

黙々と調べていた

 

 

 

 

直前までうつ状態で治った時から

 

何か一人でやりたいと心がうずいていた。

 

 

今まで、一人で何かしたことがあるんだろうか

 

 

自立したかった

 

 

うつ状態になってやることは

 

ただただ、寝て、起きて、食べて、ゲーム

 

これだけ。

 

 

ただ、親のいる家にいるだけ

 

 

布団から起き上がり

 

片付けることもなく

 

コンビニで買ってきたカップ麺にお湯を注ぐ

 

 

親は料理を作ってくれることも無くなった

 

 

そんな中で、半ば放置されたように

飯を食べて

 

一人でゲーム

 

 

暗くなってきたら

 

シャワー浴びて寝る

 

 

こんだけ

 

 

一人でも何かしたくなってきた

 

 

鬱が治ってきて気がついたら

 

 

スマホで賃貸情報

 

 

〇ーモ

 

ホーム〇

 

ア〇トホーム

 

 

これらを見ていた

 

 

以前ためたお金はある

 

できるんじゃないか、、、?

 

こんな僕でも、できるのでは?

 

もしかしたら、、、、

 

 

それに親はいずれ死ぬ

 

 

そしたら、僕一人だ

 

 

この生活はいずれなくなってしまうだろう

 

 

ワンルーム

 

「1k

 

 

これらの物件を2〜3個

 

ハートマークを押していく

 

 

すると

 

 

「、、、ん!?

 

 

「川崎、駅から23分、家賃5万、敷金、礼金なし、管理料5000円、1k

 

 

安い、、、

しかも近い!!

 

 

いい、ここに住みたい

 

 

しかしここで不安になる

 

 

「一人暮らし 気をつけること

 

 

すると出てくる情報

 

 

「近所の人のゴミが階段に溜まって異臭が、、

「隣の人の騒音が!!

「治安が悪くて、、、、、

 

 

スマホ片手に目をみひらき

 

6畳の畳の部屋で指が止まる

 

 

「ちゃんと物件は確認しておくようにしましょう!

 

 

、、、、、

 

 

鬱は主に対人関係でなる

 

 

この時も他人に対しての漠然とした恐怖があった

 

 

そもそも、他人と話すことにも慣れていないし

 

うつ状態も治ったばっかだ

 

 

「、、、、、、

 

 

少し手を止めるが

 

指は電話番号のリンクに伸びていた

 

 

 

 

 

 

 

「この辺にずっと住んでるもので

 

 

エイブルだか、アイフルだか知らないが

賃貸物件会社に乗り込んで担当になってくれた人は

 

眼鏡姿のnさんだ

 

 

中年で、スーツを着てる

40くらいのおじさんに見える

 

 

彼が運転する車に

 

僕は肩を縮めて座り、小さくなっていた

 

 

「oさんはどうして一人暮らしをしようと思ったんですか?」とnさん

 

 

「え、ええ、自立したいなと思って」と僕

 

 

「一人暮らしって、すごいですよね。

 

私はずっと実家に住んでいるもので、、、

 

嫁と母と、住んでるんです。

 

だからoさんのことちょっと尊敬しちゃいます。

 

 

「は、はぁ

 

 

話してみて、穏やかな人で

 

 

何も知らない僕に対して1つ1つ丁寧に説明してくれた

 

 

全部任せればいいと言うのに

 

何がやりたい僕は

 

 

わざわざ火災保険なるものを自分一人で調べて

 

書類も出した。

 

 

理由は単純に安くなるからだ

 

 

イキる僕に対しても

 

nさんは柔軟に対応してくれた

 

 

あとは保証人と言うものが必要らしいが

なんと、僕には保証人になれる人がいないと言う

 

 

なんてことだ

 

 

しかし

保証人は、会社の方で有料で

やってくれるみたいだ。便利

 

 

「この辺、詳しいんですね」と僕

 

 

「そうですね、私の家なんかこの近くですよ。」とnさん

 

 

「近いんですね!

 

 

軽快にハンドルを回していくnさんと

 

たわいもない話をしていく

 

 

「ここです。

 

 

 

目の前に建物

 

 

真っ白の3階建

 

 

1階3部屋ほどの大きさ

 

 

 

「ふぁーーーー

 

 

「さぁ、こちらです。

 

 

鍵を持つnさんの

 

後ろについていく

 

 

ちょっとまて、近所の人はどうだろう

 

 

玄関をくぐる

 

 

ゴミが部屋の前に散乱してたりとか

 

近所の人がうるさかったりとか

 

また、変な人、隣に住んでたらどうしよう

 

 

そしたら鬱が治るどころじゃない

 

また自宅で篭ることになる

 

それだけは避けたい

 

 

いろんな思いを胸に

 

nさんはガチャっと鍵を開ける

 

 

あ、僕の部屋、1階なんだ

 

 

「ここです。

 

 

そう言って案内され

 

恐る恐る首だけ突っ込んで

 

部屋を見渡す

 

 

 

6畳のフローリングの部屋

 

白い壁

 

1畳ほどの2つのコンロのあるキッチン

 

 

玄関に入って見えるのは

 

それだけだ

 

 

「、、、、ヘぇ〜」と僕

 

 

「自由に見てください」とnさん

 

 

と言われても

 

玄関に佇むnさんに見守られ

 

緊張が止まらない

 

 

扉を開ける

 

そこにあるのは、空間

 

もう一つの扉に手を伸ばす

 

1畳ほどの空間

 

突っ張り棒がある

 

 

もう一つの白い扉に手を伸ばす

 

 

真っ白い部屋に、便器

 

左を見ると、浴槽

 

 

「、、、、へぇ〜

 

 

「バストイレってやつですか?」と僕

 

 

「そうです。どうです?」とnさん

 

 

「ええ、いいところですね

 

 

言葉を振り絞るので精一杯だった

 

 

これから契約?

 

月5万払うの?

 

僕が?

 

 

いつもは家賃がかからなかったけど

 

かかるの?本当に?

 

 

これから契約する部屋に実際に来ても

 

いまだに実感がなかった

 

 

「1時間、ください

 

 

「いいですけど、次の人が見学にすぐくるので、次の人が決めてしまったらそれまでですよ」とnさん

 

 

えー!!そんな

 

 

「わかりました。

 

 

 

 

 

 

 

契約するかどうかの決断の1時間

 

 

バーミヤンに寄ったのは覚えているけど

何を注文したのかは覚えていない

 

 

チャーハンだった気もするし

餃子だった気もする

 

 

あるいはどちらかだったのかもしれない

 

 

それはともかく

 

 

スマホ片手に、机を見つめていた

 

 

別にゴミが散乱してなわけじゃない

 

変な人も見てない

 

奇声が聞こえたわけでもない

 

 

部屋はいいところだ

ちょっと車の音がするけど、、、

 

 

他に安いところは他にない

 

 

場所も実家から近い

 

駅からは23分もかかってちょっと遠いけど、、

 

近くのコンビニかなんかで働けばいい

 

 

他は、、、、、、

 

 

もう決断するか、否かの瞬間だった

 

 

今までこんなお金を使う決断をしたことがない

 

 

しかも一人で生きなくては

 

 

一人でバイトして生きなければ

 

鬱になってる場合じゃない

 

 

「、、、、、、

 

 

頭を抱え、机をみる

 

 

後は僕次第だ

 

誰も決めてくれない

 

 

自分一人で、決めるしかない

 

 

「、、、、、、、よし

 

 

僕はスマホの電話履歴を開いた

 

 

 

 

 

 

 

契約書の書類に、名前を書く

 

 

終わった、、、、

 

 

ペンを握り、頭を上げる

 

 

何かnさんが言ってる気がする

 

 

周りの人も何か、言ってる気がする

 

 

全く耳に入らないまま、湧き上がるのは

 

 

達成感?

 

後悔?

 

 

少なくとも

 

 

僕は契約書にサインした

 

 

「、、、、、、〜〜!

 

 

奥にいるおばちゃんhさんが何か言っている気がする

 

 

途端、目が熱くなる感覚がした

 

 

視界がぼやけ

 

雫が目から落ちる

 

 

、、、?涙?

 

 

周りの人も何か言っている

 

 

少なくとも僕はやり遂げたんだ

 

 

一人暮らしする賃貸を一人で契約すると言うことを