バイトの制度を利用して、自らが作る

「そもそも、アルバイトの制度なんて誰が作ったんだ?

 

 

「あ?

 

 

同じバイト仲間にこんな声をかけた

 

 

しばらく彼は

鍋の中をかき回し続けた

 

 

「、、、、、

 

 

「そんなこと、考えたことねーや

 

 

 

 

アルバイト。

 

 

 

 

コンビニであったり

 

弁当屋であったり

 

スーパーであったり

 

 

レジを打ったり

 

品を出したり

 

掃除したり

 

 

そんなことしながら1時間が経つと

 

1000円だか、その辺りの金がもらえるという制度

 

 

別になんてことはない

 

店長の言う通りにやればいいだけの話だ

 

 

「今品出ししといて

 

「ピークだから

 

 

こんな店長の言葉一つで

 

僕らは

 

右にも左にも動く

 

 

そしてその通りに動けばいいだけだ

 

誰でもできる

 

 

レジは商品のバーコードを読み取れば

 

値段が表示される

 

 

別に一つ一つの商品の値段を覚えておく必要はない

便利だ。

 

 

そして合計金額を伝え

 

お金を受け取り、お釣りを渡す

 

 

お釣りも店長だかなんだか知らないが

 

彼らが用意してくれる

 

 

一円玉が足りなくなっても

 

倉庫から引き出せばある

 

僕らは銀行に行く必要はない

簡単だ。

 

 

掃除はトイレだか、床だかを拭くのが仕事だ

 

 

基準なんて聞いたことはないが

 

モップ持って、アルコールとウェットティッシュを持って

 

 

床を、便器を、拭けばいい

簡単だ

 

 

基準なんてなく

 

 

別に汚れが残っていても

 

便器の裏が埃まみれでも

 

 

「掃除終わりました!

 

 

と言えば終わりだ

 

簡単にできる

 

 

品出しも

 

すでに場所があるから

 

そこに並べていけばいい

 

 

賞味期限を気にする必要がある

 

古い商品を前に

 

新しい商品を奥に

 

 

しかし、作業するとき、店長はいない

 

 

ある程度は大雑把でも

 

古い商品が奥にあっても

 

また、ちょっと品薄に見えても

 

そのまま放置でも

 

 

「品出し終わりましたー!

 

 

と言えばそれで終わり

 

 

言われた通りにやって

 

あるいは、やってる風に見せて

 

 

時間が過ぎるのを待って

 

そして、お金をもらう

 

 

それがバイトの仕事だ

 

 

綺麗事を言うつもりはない

そんな事実もある。

 

 

最初はきちんとやろうとしていた

 

トイレ掃除は裏まで

 

 

品出しはみちみちになるまで

 

 

しかしなぜか仕事が遅いと言われる

 

 

なぜ?ちゃんとやってるのに?

 

 

そして、明るい好青年

元気で好感が持てる

 

 

彼がやった仕事のあとを見てみると

 

 

ん?謎にやり残しが多くないか?

 

 

それでも、仕事ができるやつと思われる

 

 

、、、、、、、、、、

なんだそれは

 

 

バイトで生き続ける人がいる

 

 

彼らはおじちゃんであり

またおばちゃんであり

 

 

言われたことをただただやる

 

 

途中途中で笑い飛ばす姿を見ながら

 

自分の仕事を誇らしげに

新人に教える

 

 

僕はそんな彼らを尊敬している

 

僕はバイトなんてつまらないと思ってしまうから

 

 

そんなつまらないように見えることを

心底一生懸命に

 

 

自分の役割だと胸を張るように

 

 

自分の居場所はここだと言うように

 

 

実際、彼らは仕事の効率が良く

 

よく手を動かす

 

 

そんなことを何年も、何年も続けるのだ

 

 

すごい。

 

 

対して僕は仕事が遅い

なぜだか知らないが

 

 

作業があまり早くない

 

 

また、笑い飛ばして話すのも苦手だ

 

 

もっと効率よく

ないしは仕事量を減らす方法を考えるのは得意だけど

 

 

彼らは手を動かしていたいのだ

 

作業をしていたいのだ

 

 

 

 

僕は、こんなこと、耐えられないのに

 

 

 

人の指示を聞くのも苦手だ

作業も苦手だ

また、雑談もあまりしない

 

 

結果的に指示とは的外れの作業を

ダラダラと

無言でやっている

 

らしい。そう見えるらしい

 

 

別に僕じゃなくてもできることを

 

トイレ掃除などどれくらい綺麗にしたらいいのか、基準がないものを

 

というか、僕以外、誰もなさ見ないようなことを

 

そんなことをやるのは狂気に見えてしまう

 

 

そんなことやっても

 

結局使う時間と、もらえるお金は変わらないじゃないか

 

 

僕は人が喜ぶものを作りたい

 

 

トイレ掃除して

ちょっとだけ汚れが落ちて

 

 

お客様も、従業員も見ず

 

そして、また汚れていく

 

 

そんなキリのない仕事よりも

 

 

ただ一つ、喜ばれるものを作って

実際、喜んで欲しい

 

 

そうやってお金をもらいたい

 

 

立派なことじゃないように思えてしまう

 

そんなことを堂々と

いい顔して働く

 

 

それを永遠に続ける事なんて、無理だ。

 

 

キリのない作業以外でお金を手に入れる方法を手に入れる

 

いい顔して生きるのではなく、人をどれだけ喜ばせられるか?それで仲間からの支持を得る

 

 

 

退屈だ、作業なんて

 

 

誰でもバイトから始まるのだろう

 

しかしずっと続けるなんて、退屈だ

 

 

誰がこの制度を作ったのか知らんが

 

この制度以外の方法で生きる

 

 

そんなことを夢見て

 

見たくもない、ありふれた作業

 

退屈な単純労働

 

親の顔よりもみた、店長の顔

 

 

ここから、脱出してやる

 

 

時給制を利用して生き

 

模索する人生。