閉店ギリギリで初せどりの話

「じゃあこれとこれとこれと、、、、

 

 

山積みされた段ボール

伝票を一つ一つに貼っていく

 

 

スマホを確認し

 

なぞって

押して

 

 

時たま目を見開き

指を止め、眼球を動かす

 

 

「、、これがこっちの伝票で、こう、です。

 

 

段ボールを回収する店員さん

 

 

カウンターの奥には

僕の荷物には比にならないほど

 

段ボールが積み上げられている

 

 

片手で持てる段ボール

 

また、両手でギリギリ持てる段ボール

 

 

中には1人で持てないような

冷蔵庫が入っていそうな段ボールもある

 

 

5.6段ほど山積みにされたカウンターの奥には目もくれず

 

 

スマホをしきりに動かしていく

 

 

窓の外は暗くなり

お客様も少なくなったホームセンター

 

 

時計は21:00を回っている

 

 

時間がない

後1時間もない

 

 

 

 

何故こんなことになっているのか

それは前日のこと、、、、

 

 

 

「ん?

 

 

スマホをなぞっていると謎の単語を目にする

 

 

テンバイヤー?

なんだそれは

 

 

戦隊ものかなにかか

なんか楽しそうだな

 

 

興味を持ち

スマホをなぞる親指が早くなる

 

 

すると、背筋が凍りつくような文字を目の当たりにする

 

 

そこに書いてあるのは

 

 

テンバイヤーだか戦隊ものだか知らないが

 

彼らに対する誹謗中傷だった

 

 

「なんだこれ?

 

 

どうやら家電量販店などで家電とかを買い

それに金額を上乗せして

Amazonなどで売り出し、お金を稼ぐ方法みたいだ

 

 

「、、、、、、

 

 

絶句した

単純に興味をそそられたものを貶されたような気分だった。

 

 

世間の声、というのだろうか

しかし、僕はその言葉を無視した

 

 

当時僕は集団を怖がっていた

 

 

厳密には

バイトであったり、会社であったり

部活であったり、なんでもいいが

 

 

そこにいる人たちを怖がっていた

 

 

具体的には部活だがそこの人に

なんかいろいろ言われたり、殴られたりしたからだ。

 

 

ただ、それ以上に

アルバイト以外で、自力で稼げる方法が書いてあって興味が湧いた。

 

 

結局好奇心が打ち勝った。

 

 

 

やることは単純

 

買って、上乗せして、売る

 

これだけ。

 

 

ホームセンターがいいとのことで

近くのホームセンターを調べた

 

 

クレジットカードが必要とのことで

クレジットを用意した

 

 

Amazonでのアカウント開設が必要とのことで

Amazonのアカウントも作った。

 

 

はっきり言って、訳がわからない

 

 

ただ

「買って、上乗せして、売る

 

 

これだけなのに

特にAmazonのアカウントに苦労した

 

 

「なんだ?二段階承認?ワンタイムパスワード?なんだそれ?

 

 

僕はただ興味を持っただけだ

バイト以外で稼げる手段があると

 

 

ただ、それだけ

 

 

別にホームセンターなんて

調べたところは一回も行ったことがないし

 

クレジットカードも使ったことないし

 

 

ましてや、Amazonも、ちょっと本を買うくらいだ。

 

 

確かパスワードは

 

「めしうまい

 

的なパスワードだった気がする

 

 

それくらい知識がないのだ

 

 

これだけスマホをなぞったのも

人生で初めてのことかもしれない

 

 

 

なんなんだこれはーーー!!

 

 

 

「これ、なんだ、、、

「うーん?セラーセントラル?

 

 

さぞかしシュールにうつっただろう

 

 

自宅で、一室で

 

何やら叫びながら、呟きながら

 

 

カードを見て

置いて

 

スマホを指でなぞり

 

 

または親指と人差し指で

開いたり、閉じたりしながら

 

 

食い入るようにスマホを見つめるのだから

 

 

 

「うん?

 

 

首を動かす

 

 

なんだ?周り、変

 

 

、、、?なんか暗い

 

 

ような気がする

 

 

気のせいじゃなかった

もう日は沈んでいた。

 

 

どこのホームセンターに

どのクレジットカードを持っていけばいいのかわかった。

 

 

Amazonも、、ひとまずは大丈夫なはず

 

 

用は安い商品を買い

それを高く売るだけ

 

 

布団で横になり、目を閉じた。

 

 

 

駅の中のホームセンターの前に立っていた

 

 

「ここかぁー!

 

 

まだ時計は12時前

 

 

どれくらいの時間もかかるのかわからないので

かなり早めに来た。

 

 

ホームセンターの入り口にたっても

ネットで見たような人は見当たらない

 

 

みんな、無言で歩くだけ。

 

 

「うわっ、ひろー!

 

 

めっちゃでかい

 

 

そもそもホームセンターに来たことすら少なく

どういうものかわからなかったが

 

 

何よりでかい

天井も高い

 

 

なんだここは、幕張メッセか何かか、、、、

それともなんだ、何かのスタジアムか?

 

 

ひとまず、一回りしてみる

 

 

フライパン、化粧品、家具、、、

なんでもある、すげぇ

 

 

そもそもこんなところに来たことすら少なく

やや気持ちが昂ぶったような気がして

 

 

これからお金を使うことを忘れていた

 

 

一通り見て周り、いざ取り出したるは

 

 

手に収まる、黒い四角い箱のようなもの

画面が表示されている

 

 

バーコードをスキャンできる機械だ。

 

 

わかりやすくいうと

これを使うと

 

 

なんの商品が安く

何を買えばいいのかわかるのだ

 

 

しかし、取り出し、手に隠し

ふと立ち止まる

 

 

店員さんに注意されるのでは?

犯罪なのでは?

 

 

声をかけられたらどうしよう

 

 

というかこんなことしてていいのか?

道徳に反しないか?

 

 

というか、赤字になったらどうしよう?

 

 

「、、、、、、、、、、

 

 

周りを見渡しても

ただいろんなお客様が歩き回っているだけだ。

 

 

手が震えている気がする

体が火照り、思うように動かない

 

 

「、、、、、、、、

 

 

僕はそれでも、一つのバーコードに黒い機械を近づけた

 

 

ピッ!!

 

 

ハッとして周りを見る

しかし、誰一人として僕を見ていない

 

 

「、、、、?

 

 

もしかしたら、もしかしたら

僕にも、できるかもしれない

 

 

震えるてで画面を見る

利益はでなさそうな商品だ

 

 

もう、全部、スキャンしてやるか

 

 

 

どんどん商品をみていく

 

 

 

ただただ、無言で、ひたすら棚のバーコードをスキャンしていく

 

 

一番上の棚の左上から腕を伸ばし

 

たなの中頃は中腰になって

 

一番下の棚は屈んで、スキャンしていく

 

 

どんどんとスキャンして

表示を見ていく

 

 

「、、、んっ!?

 

 

なんだこれ

 

 

6000円の商品がAmazonでは8000円で売れるのか

 

 

え?これ?

これ書けばいいの?

 

 

3個あるよ?18000円使うの?僕が?

 

 

頭が小刻みに左右に震える

 

 

一瞬躊躇したが

カゴに全部入れていく

 

 

 

 

 

 

 

「これ、配達で

「配達、ですね

 

 

店員さんもやや戸惑っているように見える

 

 

計10万のお買い物

 

 

「カードで

「承ります

 

 

10万使うのもなかなかない

 

 

籠の中に山積みになった

数々の箱

 

 

今でも覚えてる

 

ステーキのお皿

フライパン

割引されていた水筒

 

 

この時、夏を過ぎ

季節外れになった水筒がセールに出されていた

 

 

結果的にかなりの儲けを出したものだ

 

 

お会計を終えると最後の一仕事

配達がある

 

これをAmazonの倉庫に運ばねば

 

 

ふと時計を見る

もうすでに暗くなっていた

 

 

最後にやるのは

 

 

正しく品を登録して

正しい倉庫に送ることだ

 

 

ただこれに悪戦苦闘することになる

 

 

この鍋は、Amazonで、、、、

 

これか?違うな、、どう検索すればいい?

 

これか?

 

、、、、、違う、これは4個入りのやつだ

2個入りのやつなんだ、買ったのは

 

 

、、、2個入り、、、?

なんだ、登録できない?

そんなことはない、どうやるんだ、、?

 

 

忘我。

時も人も何もかも忘れ

 

 

それがスマホであるかも忘れてのめり込む

 

 

ただどれだけ何もかも忘れても

時計の針は止まらない

 

 

19:00

 

19:01

 

19:03、、、、

 

 

時は忘れつつ

かつ、時に追われて

 

 

ホームセンターの白い壁に寄りかかり

通りすがる人にも目もくれずに操作していく

 

 

早く、早くしなければ、、、

 

 

閉店になったらこの大量の荷物を持って

店外に出ることになる

 

 

そしたらどうなるんだ?

夜をこの荷物と共に過ごすのか

 

 

外で?

 

 

今日は野宿か?ハハッ

寒い夜になりそうだな

 

 

雨が降ったらどうするんだ、、、

それこそ、荷物が全部おじゃんになってしまう

 

 

まるで1万円札10枚が

細切れになって、バラバラになり

 

 

もう二度と、元に戻らないようだ

 

 

早く、早くせねば

 

 

 

 

 

 

気付いたら配達の受付の人と話していた

「これがこの伝票で、これがこれで、、、、

「、、、、、テープがない、、、

 

 

「ガムテープ、貸してください

「はい、、はいどうぞ

 

 

笑顔でガムテープを渡してくれるおばちゃん

 

 

「どうもです!

 

 

テープを貼りながら人の温かみに触れる

 

 

ネットで批判するような人は実際にはいなかった。

 

 

むしろ時間がなく、焦る僕に

手助けしてくれるおばちゃんがいた。

 

 

なんだか夫婦のような安心感があった

 

 

別に夫婦になったことはないけど

なんだかそんなふうに感じたのを覚えている

 

 

やってよかった

 

 

「これで、、、全部です!!

「はーい、お預かりしますねー

 

 

、、、、、、

終わった、、、、、

 

 

 

外に出ると辺りは真っ暗になっていた

 

 

この時間に外に出ることも、なかなかないのではないか

 

 

時間は10時を回った

 

 

最後にコンビニにより

電車で帰路に着いた。

 

 

Amazonに、買った商品を登録して

 

 

 

ps

売り切りました。

 

送料でうん千円とか取られ売り上げはかなり下がりましたが

 

赤字になることもなく今

 

手元に商品はありません。

自己紹介

目指すものは

タフなこと。

 

 

具体的にいうと

 

 

1人で、文無しになっても

会社を立てて、稼げる力

 

 

お金を稼ぎながら

さらに時間も確保していく力

 

 

自分のやりたいことを

超具体的に、人にわかるように

話せる力

 

 

この辺りです。

 

 

ただ、世の中は

すぐ消えてしまうものが多すぎて

悲しい限りです。

 

 

例えばハロウィン、クリスマスなどのイベント

 

 

毎年くるものですし

消えるようには思えません

 

 

それでも

一夜です。

 

 

だけど一人一人は?

 

イベントが終わった後でも息してます。

 

それは読んでくれるあなたもそうですし

僕もそのうちの1人です。

 

 

イベントなんか、すぐ消えてつまんない。

 

 

その一瞬だけ楽しくいきれたらどれだけいいでしょうか

 

 

だけど

終わった直後から

 

 

またくるのは来年です。

 

 

何か焦るような気持ち

失うような無力感

 

 

「ああ、また来年か

 

 

そんな一夜で消えてしまうものは確かに一瞬は楽しめますが

 

 

やっぱ

自分の力を上げていくのが一番いいんじゃないかなというところです。

 

 

とはいえ、実力が足りないのではないか?

と感じるところも事実です。

 

 

文無しになって、会社作るなんて

何をどうしたらいいのかというところです。

 

 

それこそ

 

まだ立ち上がることもままならない

仰向けの赤ん坊に

 

 

いきなり、50m走を10秒で走れ!

というのとおんなじくらい無謀に見えます。

 

 

ただ、赤ん坊は

いずれ

 

 

寝返りを打ち仰向けになり

 

 

そのままハイハイしだし

 

 

いずれ立ち上がります。

 

 

二本足で歩くようになったら

 

 

今度は走り始めます。

 

 

走れれば、、、もしかしたら?

50mを10秒とはいかなくても

 

 

少なくとも、20秒ほどで走れるはずです。

 

 

人は最初は訳がわからないことでも

いずれ理解する力があります。

 

 

それは僕も、そして

読んでくれるあなたも、同じことです。

 

 

僕は気づいたことがあります。

 

 

それは無意識に人の真似をしているということです。

 

 

ね。

 

 

と語尾をつける人がいて

「なんか、いいな

 

 

と思ったのかは知らないですが

無意識に真似してる自分がいます

 

 

ニコニコ笑顔で接客する人を見て

「あ、いいな

 

 

と思ったのか

それを真似する自分がいます。

 

 

人を見て、知らないことを

どんどん取り入れている自分に

気づくことがあるので

 

 

いまできなくても

「まぁできるだろ

 

 

そんなノリでやってます。

 

 

最後に、このブログには

 

人と実際に話してあったこと

実際に話した内容などを書いています

 

 

どの人も

 

 

いいな!

 

 

そう思った人のことを書いています。

 

 

「この人いい!

 

 

そんな風に思ってもらえればと

リゾートバイト、体験談

ぼんやりとバスの外を見る

 

曲がりくねったまちの外には

 

 

木、緑、森

ただひたすらの木

 

 

街の街路樹はとっくのとうに葉を落として

冷たい風に枝を揺らしているというのに

 

 

この山の木はどれも緑色だ。

 

緑の山の道を

曲がりくねった道を

 

 

どんどんを登っていくバス

 

 

僕はただただ木しか無い外の風景を

珍しそうに見ていた

 

 

見てたのはリゾートバイトなるもの

いろんな場所での求人が載っている

 

 

あるいは海だったり

あるいは山であったり

 

 

海沿いの旅館の求人や

山の上の求人が出ていた

 

 

この世界から抜け出したかった

 

 

バイト中、ふとした時間に雑談を始める

仲間たち

 

この

退屈な日々に

 

 

それに何より

1人の足で立ちたかった

 

 

実家暮らしで働くなか

いつか、どうしても1人で働かなくては行けない時期が来ることは事実であり、明白だ

 

 

自分の部屋をとり、いかねばならない

 

 

「住み込みで働ける場所、ないかな

 

 

そんなことをつぶやきながら

自宅の一室で

 

 

何やら板状の機械を指でなぞっていく

 

 

謎のいたには

いろんな場所の画像が映っている

 

 

海、山

 

 

、、、、これだけなのか?

 

 

見ると今いる場所よりも

うんと、離れた場所

 

 

交通費、、

金、ねえ

 

 

だけど僕は構わず指を動かし続けた

 

 

いや、、まだだ、

この生活は無くなってしまう

 

 

いつの日になるかわからないが

間違いなく

 

 

その前に、、、

 

だから

もしかしたら、、、

 

 

その時写っていたのは

箱根

 

 

箱根?あの箱根か?

 

 

まだ近い

 

 

他のものは

 

 

どこだか覚えてないが

手が出せないような場所ばかりだった

 

 

ここだ。

 

 

調べ、電話番号を見て

早速指で番号を打つ

 

 

 

「、、、、、、、、、

はた、と指が止まる

 

 

 

この時の僕はどうかしていたのかもしれない

突然1人でこんなことやると決めたんだから

 

 

 

「山の中って、、、生活どうすんの?

「実家にいるんだったら別にそれでもいいじゃ無いか

 

 

そんなことを頭巡った。

 

 

しかし心の衝動が、上回った

 

 

 

どんどんと山を駆け上っていく

 

 

 

乗客はまばらで僕も含め3〜4人程度

彼らはどこにいくつもりなんだろうか

 

 

バスの後ろの2人がけのシートの窓際に座り

何をすることもなく外を見ていた

 

 

これからどうなるんだろうか

 

 

遠くなっていくビルだかなんだかを遠目で見ながら

 

 

あまりにも木しかないので

もしかしたら、人なんていないのではと思っていた

 

 

 

「あー、今日から働く子だよー

「ういっすー

 

 

誰だか覚えてないが

支配人みたいな人に案内される

 

 

厨房内

4〜5人の人が動き回り

そこで見たことないような料理を用意していた

 

 

なんだこれは?

 

白、赤、緑の

一円玉くらいの大きさの団子が

 

 

一つの容器の中でひしめき合っている

 

 

なんだこれ、郷土料理か、何かか?

 

 

「じゃあこれ〇〇のテーブルに

 

 

テーブル?

 

 

見るとテーブルを囲む

2〜3人の親子であったり

 

 

若いカップルが

2人用の席に座っていたりする

 

 

覚えたばかりのテーブル番号のところに行って、謎の団子を渡す

 

 

見渡すとそこにあるのは

 

 

複数のテーブルと、イス

 

 

テーブルには何かをを焼くようの

小さい網があった

 

 

そこで僕は何とも言えない感覚を覚えていた

 

 

笑顔のない、丁寧な接客

全く喋らないお客様

 

 

彼らは旅行に来ているはずだ

だったら、、、もうちょっと楽しそうにするものではないだろうか?

 

 

また僕らもそれに応えなくてはならないのではないか?

 

 

まばらなお客様に対してやることがなくなり

説明を受けながら

夜はふけていった

 

 

「はい、これ鍵

「相部屋だから

 

 

そう言って渡される鍵

 

 

仕事場から10分ほど歩いたところにあるのは

どこにでもあるような青いアパート

 

 

ぼろくはなく、新くもない

そこの3回に案内されると

 

 

中は真新しさで溢れていた

 

 

「ここが〇〇くんの部屋ね

 

 

そう言って案内される6畳ほどの部屋

テレビと、ベランダと、敷布団がある

 

 

窓からは途方もない山がだけ見えていた

ビルはない

 

 

案内人がいなくなると

そこで僕は大の字に寝転がった

 

 

知らない場所へのバスでの移動

知らない人との話

知らない仕事内容

 

 

ヘトヘトだった

 

 

目蓋を閉じようと思ったが

留守中の同居人が気になった

 

 

彼はどうやら今病院にいるみたいで

しばらくここを開けているのだ

 

 

忍足で廊下を渡り

そっと部屋を覗く

 

 

2次元キャラのポスターとフィギュアと

閑散とした部屋

 

 

共用のキッチンを覗いてみると

 

 

大量の服、とタンス

彼の持ち物だろうか

 

 

僕の部屋より広いであろうキッチンの

半分以上を占領してる

 

 

透明な箱

子供1人入れそうな箱が

 

 

10個ほど上積みされている

 

 

その中には

大量の上着や下着が入っている

 

 

 

彼にとってここはすでに家のようなものなのだろうか

 

 

僕は身一つと数枚の服しか持ってきていなかった

 

 

僕の部屋は

唯一のコンビニで買ってきた

焼きそばの袋が剥き出しになって置いてあるのと

 

 

服が数枚入ったバッグが一つあるだけだ

 

 

僕は部屋に戻り

コンビニで買った焼きそば素麺を

 

 

器にも入れず

 

温めもせず

 

 

外の山の景色を見ながら

冷たい焼きそばをかじっていた

 

 

ただ、緑の山

浴衣姿のお客様

無表情の仲間たち

小さい、青いアパートと

豊かな同居人

 

 

僕はいろんな思いを抱えて

眠りに落ちた

肉体労働の対立と愛

 

「カーゴ通りまーす!

 

 

春先、桜が散るころ

僕は超重いものを2人で、カゴに入れて

 

ガラガラと運んでいた

 

 

どうして僕がこれを運んでいるのか?

 

 

単純に派遣労働中だからだ

 

 

派遣では面接が入らず

 

働く意思さえあれば

誰でも働ける

 

 

当時働きたくとも

面接で受かる気がしなかった

 

 

パソコンでの仕事なども

面接受けに行ったが

 

 

受からず、また、パソコンの派遣でも

 

仕事がない

 

 

仕方なく誰でも働けるところで働いていた。

 

 

現場には

白の荷台付きのトラックが数台

2mものあるカゴが数十個

 

 

そして

僕と同じ仲間が20人だか、30人だかいる

 

 

僕と同じく、無口で、従順なかれら

 

 

それとトラックの荷台の上に立ち

ヘリに手をかけ

 

 

何やら笑顔で話している

男性2人

 

 

彼らの指示一つで僕らは

右にも、左にも動く

 

 

「はいじゃあこれ2人で持っていってー!!!

 

 

響く轟音

 

僕と仲間1人で籠の左右に立つ

 

 

「せーのー!!

 

僕の声とともに僕らに合わせ

でかいかごもうごく

 

 

何かでっかい建物に入ったかと思うと

 

すでにある複数のカゴ

 

 

「はーーい!!こっちに持ってきてーーー!!

 

 

声に従って仲間と頷き合い

ガラガラと運んでいく

 

 

でかい建物に入った気がする

 

周りを見てみると

学校の体育館のようだ

 

 

いや、もっと広い

だが作りはほぼ同じ

 

 

ステージがあり

壁の色は茶色

バスケットボールのゴールもある

 

 

この体育館の2倍はありそうな広さに

人が10人ほど散らばり

何か話しながらなにかやっている

 

 

あるいはマットをひいたり

あるいは糸を体育館の端から端へ

あるいは雑談中の人

 

 

その中へ適切な場所にこのでっかい籠を運んでいく

 

 

「おーい!!こっち持ってこーーい!!

 

 

動悸が激しくなる

 

どうもここにいると心臓が締め付けられる

ような思いだ。

 

 

「はーーい!!

 

 

声を上げるが

圧倒的に声量が足りない

 

 

「ここ!!ここ!!

指を刺す男性

 

 

ここ?

 

 

その荷物の裏だろうか

手前の方だろうか

また、この指差しはステージの上を指しているのだろうか

 

 

ウロウロしていると

 

「ここだよ!あくしろ!!

 

「はいいぃぃ!

 

 

しかたないからそれっぽいところに置いておく

 

 

「じゃ、次行こ

 

仲間とはなしをしながら次のカゴを取りに行く

 

 

道中僕らと同じ、籠を運ぶ仲間がいる

 

 

すれ違っていると一つのカゴを1人が運んでいた

 

 

籠は重量はゆうに100キロを超えることがある

 

 

運ぶのが大変などころか

下手をすると怪我をする

 

 

例えば車輪を足がひいたりすると、、、最悪だ。

 

 

僕も一回だけあるが

指が腫れ上がり大変なことになった。

 

 

その人うちは歩くのが困難だったほどだし

寝返りを打つときにもやや痛むくらい

 

 

なので1人で運ぶのは危険だ

 

 

「大丈夫ですか?手伝いますよ

 

そういい駆け寄ると

 

 

 

 

「    !!!!!!!!

 

 

 

 

 

襟を後ろから掴まれ後ずさる

 

振り返ると長髪の男性が目配せする

 

 

あたりは2.3秒ほど沈黙に包まれた

 

 

「ほら、こっち、おいで

 

 

すると白いヘルメットをかぶった男性が

手招きをして沈黙を破る

 

 

それを尻目にみんなもそれぞれの仕事へ戻っていった

 

 

後で知ったことだけど

会社を跨ぐと、たまに関わらない方がいい人がいるらしい

 

 

何がきんせんに触れたのかわからないが

怒鳴られただけでよかった

 

 

僕はそれを知らず、助けようとして

返って現場の人に迷惑をかけてしまった

 

 

「、、、、ありがとうございます

 

 

「それじゃ、しばらく一緒に仕事しよう

 

 

彼は白いヘルメットが特徴的に見えた

30だい当たりに見える

 

また、全身黒い作業着に身を包み

正しく、現場の人だ。

 

 

また、特徴的な歩き方をする

一緒に仕事して彼の後をついていくと

 

手は湾曲して垂れ下がり

足はやや横に弧を描きながらほをすすめている

 

 

まるで木造のおもちゃの兵隊がねじ回しであるいていくみたいだ

 

 

「持って、ほらこれ

 

ガムテープみたいなものの先を渡され

 

彼はどんどん遠くに持っていく

 

 

伸びていくテープ

 

 

僕は涙がこみ上げていた

 

 

一瞬の出来事だったが

心臓の締め付けがいちばんつよくなった。

 

 

彼とテープを通しての

共同作業が

 

 

心臓の締め付けを緩めていくように

 

 

最終的に僕はこの派遣労働で9ヶ月働いた

 

 

一番やめようと思った瞬間と

続けてもいいかなと思う瞬間だった。

 

 

白いヘルメットの彼

nさんと言うが

 

 

彼がいなかったらここで仕事を辞めていただろう

 

批判で傷心の男が働くまでの軌跡

働きたい

いや、働かねば

 

 

半ば強迫観念に苛まれながら

バスで行く道をなぜか歩いていた

 

 

 

「働けるかどうか不安です

 

働きたい、働かねば

それと同時に自信がなかった

 

 

一度集団の中で生きていけず

孤立し、そこから逃げ出したから

 

 

中学の部活が嫌で逃げ出し

ずっと家とコンビニを往復してきたことから

 

 

すっかり自信をなくしていた。

 

 

部活でさえ嫌がり、やらなかったのに

みんなと共に働くことなんてできるのか?

 

 

また逃げ出したりしないか?

自分で疑心暗鬼だった

 

 

しかしどう考えても働かねばならない

 

 

19の時、高校を卒業してから

働かねばという思いから

 

 

サポートステーションなる

就職支援のところに通っていた

 

 

月一ほどの頻度で。

 

 

どう考えても働かないといけない

いずれ両親はいなくなってしまうから

 

 

しかし、怖い

僕にできるのだろうか?

 

 

そんな思いで通っていた。

 

 

「あれからどう?

 

kさん。毎月のように話す若い女性の方

 

 

かなり特徴的な声で

やや低め

 

 

女性の声とも、男性の声ともつかず

また、やや声がねちっこい

 

 

ロングの髪はほんのり赤がかり

まつ毛が目立つお化粧だった。

 

 

しかしそんな見た目とは裏腹に

彼女は相談役としてはぴったりだった

 

 

「ええ、あれから、、、んーと

「うんうん、、

「近くのコンビニで働くのがいいかなぁって思って

「ほぉ!

「道路を挟んだところにローソンがあるんでそこで働こうかなぁって

「うんうん!

 

 

彼女は決して口を挟まない人だった

 

 

口ごもり、沈黙し

目を晒しまくる僕に対しても

真摯に話を聞くことに集中していた

 

 

「それならさぁ、アルバイトの練習、してみる?

「?なんですか?

「ジョブトレーニングって言ってぇ、働く訓練ができるのよ

 

 

どうやらそこでは働く練習みたいなものができるらしい

 

 

電車で20ぷんほど、バスで10分ほどのところにあるみたいで

 

 

そこではお年寄りたちがラジオ体操などしているところらしい

 

 

僕が怖がっていたのは、人間関係から逃げ出さないかだ。

 

 

以前は集団の中で馴染めず

自分から逃げ出した。

 

 

しかし数回で終わるとのこと

 

 

数回なら、、、あるいは僕にも

 

以前できなかったことが、できるかもしれない

 

 

「、、、お願いします

 

 

別の日、1人で行くと思ったら

なんと、kさんも一緒についてきた。

 

 

そんなことがあっていいのだろうか

 

 

2人で電車でやられて

バス停までつく

 

 

そこで僕はおかしな提案をした

 

 

「歩いていきましょう」と僕

 

 

どうしてそんなことをしたのか自分でもわからない

 

 

別に二百円くらいなんだし

迷うかもしれないのに

 

 

なぜか歩くことを選んだのだ

 

 

未知の場所を

 

 

kさんは一切異議を挟まなかった。

 

 

何を話したのかあまり覚えてないけど

雑談しながら歩いた

 

 

途中に周りがコンクリートでできた川があった

 

途中に車が大量に置いてある場所があった

 

中には車の研修所もあった

 

 

そんなことを話題に出しながらなのか

何を話したのかは覚えてない

 

 

けど少なくともkさんから話題を振ってくれ

僕もすぐにすぐに口を開けた

 

 

30分ものある道をあっという間に歩ききると

建物が見えてきた

 

 

心臓が縮むような感じがする

今もそうだけど、バイトに行く直前はこんな気持ちだ

 

 

歩いたからか、緊張からかわからないが

動機が激しくなった気がする

 

 

また逃げ出してしまうのではないだろうか

また白い目で見られるのではないだろうか

 

 

漠然とした不安を抱え

建物入り口へ

 

 

四角い建物で

大きな窓がいくつもあるのが特徴的だった

 

 

まるで豆腐に穴が開いたような、そんな建物だ

 

 

さ入ったことのない場所

 

僕は一瞬立ち止まり

そして自動ドアを潜った

 

 

「おお、おはよう、oくんだね?

 

 

でむかえてくれたのはやや身長が高い30だい男性、fさん

 

左頬にあるホクロが特徴的な人だった

 

 

「この子がジョブトレーニングで、、、」とkさん

 

「ああ、話をは聞いてます」とfさん

 

 

何か話しているみたいだけど

僕はキョロキョロしていた

 

 

子供たちが丸いテーブルに4人くらい囲んで

カードゲームをしている

 

 

何を話しているのかわからないが

なんだかたのしそうだ

 

 

僕は口元を綻ばせた

もしかしたら、、、できるかもしれない

 

 

「じゃあoくん早速頼みたいことがあるんだけど、、

 

「え?はい、、

 

とわたされたのは

 

 

顔よりも大きい青いバケツ

一枚の黒いシミがある雑巾

 

 

「これであそこの窓全部拭いといて

 

 

そう言ってそこまで歩いていくfさん

僕もバケツと雑巾を持ってついていく

 

 

「こんな感じで

 

 

そう言って実演してくれるfさん

1枚の自分の背丈ほどあるガラスを拭いていく

 

 

「こんな感じで、あとoくん、お願い

「あっはい

 

 

そういうと、建物の中へ入っていくfさん

 

 

残されたのは、僕と、ガラスと、バケツと、雑巾と

後は照りつける太陽の光だけだった。

 

 

雑巾を上へ、下へ

黒くなってきたらバケツに突っ込む

 

 

手でゴシゴシと雑巾を洗っていると

水が少しだけ灰色になっていく

 

 

もう真っ黒。

 

 

後何枚か横を見ると

後半分も残っていない

 

 

後せいぜい、4〜5枚

 

 

なんだ

 

 

別に誰と話すわけでもなく

 

 

口を閉ざして

腕を動かし

雑巾を黒くしていく

 

 

別になんてことはない作業

誰でもできること

 

 

何を僕はこんなに怖がっていたんだろう

 

 

後4枚

 

 

「端の汚れ、取りにくいな

 

 

やや背伸びして、端に雑巾をあてがっていく

 

 

後3枚

 

 

汗が首を流れていく

 

 

ただ僕の目は汚れを捉え

ただひたすらに雑巾を動かしていくのみ

 

 

後2枚

 

 

「これで終わりか

 

 

なんだ、大したことないな

 

 

バケツの水は真っ黒

雑巾の縛りもやや甘い

 

 

バケツの水、取り換えればいいのに

もっと強く、絞ればいいのに

 

 

だけど、綺麗にできている

 

 

僕は初めて働くということを実感した。

 

 

後1枚

 

 

「それではまた、よろしくです。

「ありがとうoくん!また。

 

 

仕事してる間、kさんがどこにいたのか覚えてないが

帰りにもkさんがいた

 

 

僕はなぜかバスは利用せず、歩いて帰った

kさんは口を挟まなかった。

フリーター、家を売る

父が亡くなった。

 

小火で、焼けて死んでしまった。

 

 

棺に入った父もみた。

 

泣いた。涙が溢れてしかたなかった。

 

 

色々思うところもあるなか

 

僕には試練があった。

 

 

 

「燃えた家、どうしよう、、、、

 

 

 

父親は一人暮らしなので

家まで電車で向かう

 

 

一緒に母と妹と

それからお父さんのお兄さんと、そのお嫁さん

それと僕と、5人で。

 

 

未だに父親が死んだとは信じられない思いの中

 

 

家の玄関の前に着くと驚いた

何にも変わっていないように見えるのだ。

 

 

真っ白の2階建ての一軒家。

外観は全く変わっていない。

 

 

「本当に小火が起きたのか?

 

 

疑問でしかなかった

 

 

だけどいざ扉を開けると

 

 

鼻につく異臭

 

焦げ臭い匂い

 

玄関に足跡

 

僕は立ち止まった。

 

 

しばらく立ち止まり玄関に上がる

 

 

土足で

足跡が居間まで続いている

 

 

見た目は変わらない。

匂いがすごいのと

足跡があるだけ。

 

 

居間までの廊下も焼けたような後はなかった。

 

 

向かうのは出火もとの居間。

 

 

妹と母は後ろをついてきている

 

 

居間の扉を開けると目に映るのは

 

 

水浸しのテーブル

 

薄暗いなかの散乱した黒いゴミ

 

鼻につく何かが焼けた匂い

 

溶けた電話

 

「、、、、、、

 

 

出火もとのキッチンへ

 

よくわからなくなった黒いゴミの山を踏みながら

 

 

水を吸っているのか

ぐしゃぐしゃと音がする

 

 

テーブルを曲がり、キッチンへ

 

 

すると

 

より黒こげになっているキッチン

 

焼けたカーテンの後

 

何より、2階への天井が貫通している

 

 

1.2mもあろうでっかい穴からは

2階の木の天井が見える

 

 

、、、、、、

 

 

僕は訳が分からないまま

 

おばちゃんが

ショウケンとか訳のわからないことを言い始めるので

 

 

僕も宝探しをする様に黒いゴミの山を探し始める。

 

 

途中から

あまりのショックなのか

あるいは現実逃避なのか

 

あるいは気でも狂ってしまったのかどうか

わからないが

 

 

「宝探しみたいで、楽しい!

 

 

とか言いながら黒いゴミをかき分けていった。

 

 

結局何も見つからなかった。

 

 

帰る頃にはきていたカーディガンのこげついた匂いがしみつき

次の日も、焦げ付いた匂いは取れなかった。

 

 

燃えた家は半焼だった。

 

 

父親が亡くなり

 

手続きが色々必要だと言う

 

 

父のお兄さん

叔父さんが言うには

 

 

色々と手続きが必要らしい

 

 

リサイショウメイショなどと言う謎の紙切れをもらい

 

 

区役所と

 

市役所

 

さらには税務署に行かなくてはならないらしい

 

 

しかも、それらは僕らでやらなくてはいけない。

 

 

父親が亡くなると

その後の手続きの責任は

 

 

息子と娘に第一に来る

 

 

僕と、妹だ。

 

 

僕がやらなくてはいけない

 

 

コンビニバイトの僕が?

口座開設くらいしかやったことのない僕が?

 

 

ワケワカラン

 

 

おじさんがいうには

 

 

どうやら家を売らないといけないらしい

 

 

3××万という数字を出されても

現実味がなかった。

 

 

「もっと高くなるんじゃね?

 

 

何もわからないが、売るなら高い方がいい

 

ネットでよくわからないまま6つの会社に

査定に出したら

 

 

「あの、家あるんですよね?

 

 

と言われ、いたずらに間違えられながら

 

査定額は3××万から5××万に上がった。

 

 

なんだか不思議な気分だった。

 

 

いまだに父が死んだこと

家をあること

2××まんも査定額が上がっても

 

 

未だに現実味がない

 

 

いつもは

レジで接客して

おにぎり陳列してるだけだからだろうか。

 

 

ともかく家をどこにあるかはわかった

 

 

おじさんは

 

車のこと、葬式の準備など

いろいろやってくれたみたいだ

 

 

なんと心強い。

 

 

当時の僕はそれがどれだけ助けになるかもわからないまま

 

 

とにかく、家を売ることに集中することにした。

 

 

ただ、家を売るのに

いろいろと必要なものがあるらしい

 

 

リサイショウメイショだか

税金だか、年金だか、よくわからないまま

 

 

どうやら市役所、区役所

また税務署に行かなくてはならないらしい

 

 

葬儀屋さんに死後の必要手続きに必要なものの紙をもらい

 

 

一つ一つこなすことにした。

 

 

だけど一つ困ったことがある

それは僕と妹と

 

 

どうやら、もう1人、お父さんには息子がいるらしい

 

 

僕のお兄さんに当たる。

 

 

厄介なことにお兄さんは一切関わるつもりはないらしい

 

 

しかも相続手続きするには

子供全員の同意が必要不可欠だ

 

 

手続きは全部僕と、妹でやらないといけない

なんてこった

 

 

そこでおじさんが

彼から委任状をかっさらい

僕らに渡してくれた

 

 

この紙があれば彼がいなくても手続きができる

 

 

委任状を手に持って

手続きに入る

 

 

まずは年金を納めないといけないらしい

 

 

幸いバイトして貯めてるお金はある

 

 

30万?なんだそれ?

なんの冗談なんだ?

 

 

ともかく手持ちにはあったので

それで窓口に行って支払う。

 

 

家を売れば3桁入ってくるから

しばらくの辛抱だ。

 

 

次に年金控除の手続きだ

 

何かとこの謎の

リサイショウメイショなるものが役立ってくれた

 

 

家が燃えるといろいろ控除してくれるのか

 

 

なんだリサイショウメイショ神か。

それをとってくれたおじさん神か。

 

 

それともなんだ、控除してくれるスタッフさんが神なのか

 

このお金は税金としてみんなが払う分が回っていたんだろう

 

国民全員が僕を助けてくれるような

そんな感覚がした。

僕もちゃんと年金を払わねば

 

 

最後に父が持っていた銀行口座のお金を引きださなければいけない

 

 

銀行に行って

委任状を出す

 

 

しかし、委任状だけではいけないらしい

 

 

イサンキョウギブンカツショ?

なんだそれは、それが必要なのか?

 

 

しかし僕のお兄さんの電話番号も知らないまま

また、何もかもわからないままやっていてすっかり混乱しきっていた。

 

 

どうやらこれはやらなくても家は売れるということだけ知って

銀行口座はそのままで放置になっている

 

 

今も父の口座は手付かず

5〜6万ほどはあったはずだけど、どうしようもない。

 

 

このお金は時間が経つと銀行のものになるらしい

そうやって銀行は存続していくのかなと思いながら手続きを済ませていく

 

 

ほかにもなんやかんやあったがあまり覚えてない

 

 

少なくとも税務署、市役所、区役所には何度も足を運んだ。

 

 

苦労して、バイトもしながら

3ヶ月ほどで全ての手続きを終わらせた。

 

 

とうとう、家を売る時が来た。

 

 

 

 

いろんな人が集まって

いろんなことを言っている

 

 

しょうじきなにをいっているのかもわからないけど

 

 

どうやら、名前と住所と、ハンコをたくさん書かないといけないらしい

 

 

5人ほどの大人が入り

僕と妹と、母。

 

 

そこで僕と妹は淡々と名前、住所、ハンコを押していく

 

 

10こくらいの書類があり

だんだん疲れてくる

 

 

「なんか、たくさん書いて楽しくなってきました!

 

 

信じられるだろうか、実際に僕が言った言葉だ。

 

 

周りの人は何も言わなかった。

 

 

そりゃそうだ

僕がこれを署名しなかったら

 

家は彼らのものにならない。

 

 

彼らも家を買いたいからここにいるのだ

僕次第だ。

 

 

それなのにこの発言である。

 

全く我ながら無知すぎて愛想が尽きる

 

ただそれでもやりとおせたのも事実だ。

 

 

自分と、妹と、遺産を分け合うことになる

 

5××万を2等分ではなく

いろいろ経費がかかったが

 

 

それでも、1××万のお金が入ることになった。

 

 

いつもはコンビニで働くだけ

 

レジと品出ししかできないが

 

 

そんな僕でもできた瞬間だった。

「パパすごいー!!」そんな人生にしたい

 

子供がいたら

少なくとも掃除洗濯料理くらいはまかせたい

 

 

僕自身はそんな役割もなく、居場所がなかったから、、

 

 

「なんか僕にできることある?

「んー別にないよー

 

 

祖父母と母と妹と5人で暮らしてる

小学4年生時代

 

 

僕は家での役割がなかった

 

 

朝食はソーセージとレタスを挟んだ食パンを2枚、おばあちゃんが作ってくれ

 

 

洗濯もお母さんか、おばあちゃんがやってくれ

やることは

 

 

どさっと置かれた

僕の服か、妹の服か

 

 

それを一つ一つ丁寧に畳んで

タンスにしまうことのみ

 

 

掃除もおばあちゃんが人知れず

 

 

掃除機をかけたり

風呂を掃除したり

食器を片付ける籠のカビをとったりして

 

 

僕は家では特段やることがなかった

 

 

ただ、自室でいるだけ

座ってるだけ

 

 

お母さんは教育熱心だったんだろうか

 

くもんだか、ドラゼミだか、Z会だか

やたら教材を買っていた

 

 

ただ、僕はと言うと

 

 

くもんの宿題は一切やらず

ドラゼミもちょっとだけやってそれだけだ

 

 

自分から勉強したことを

話すこともなかった

 

 

家では近くの友達と外に行くか

妹と遊ぶか

 

またはゲームをやるくらいしかなかった

 

 

このゲームの内容も

自分から話すこともなかった

 

またお母さんから聞くこともなかった

 

 

僕は家の中で

 

 

掃除をする人でも

料理をする人でも

ましてや、勉強もすることはなかった

 

 

ただ、楽しそうなことを追うだけだった。

 

 

そして時はすぎ、20代

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして今、楽しそうなことはおっていない

 

 

正確には

 

 

「一切人の役に立たないような一見楽しそうなこと

 

 

ゲームをやって親が喜んだか?

そこでボタンをパチパチ押したことが今、何かの役に立っているか?

 

 

答えはno

 

 

断言しよう

認めたくないが

 

 

僕はかなり無駄な時間を過ごしてきた

 

 

だったら

 

そうじでも、洗濯でも、なんでもいいけど

自分から、やればよかったと思う

 

 

目指していることがある

 

 

理想は僕は仕事ばかりやって、お客様を喜ばせまくり

 

 

その姿だけ見せ

子供には何も言わないこと

 

 

例えば社長だったら

会議中の防犯カメラでもなんでも流せばいいかもしれない

 

 

別に話す必要はない

ただ、やっていることを見せればいい

 

 

それを見て

子供が

「パパすごい!

 

って思ってくれたら最高だ

 

 

「パパしょぼい、、、

 

 

って言われても

 

 

たくさんの人が喜んでくれ

お金稼げればオールOKだ

 

 

仕事してる姿を見せる

で、何も言わない

 

 

僕自身、なんの役にも立たないようなことしかやってこなかったように思えるからこそ

 

 

パパすごい!僕もやりたい!!

 

こんなふうに思ってもらったらと思う

 

 

 

そうじでも、洗濯でも

人の役に立つことを

 

 

 

 

もしもたまに一緒に遊ぶ時があったら

 

 

仕事の内容を話して考えさせること

そして何より自分が何をなしたいか

それを話せれば後は別段話す必要もないのではと思う。

 

 

 

僕にできるかどうかだけど

やりたいことだから、やる価値はある

 

 

それを目指しているし

そうなるためなら

 

 

怒られるし、批判も構わないし

1人で色々やる

 

 

子供がいたら少なくともそうじ洗濯くらいはまかせたい

 

 

欲を言うなら、仕事してる姿を見せて

「僕もこうなりたい!お父さんどうやったらこうなれるの?

 

 

と言うふうに思ってもらえたら幸運だと思う