手が出る転校先の子を黙らせたもの

学校の裏庭で

 

幅3メートルくらいの道を

 

男の子2〜3人が

 

一人の男の子に追われ

 

何やら笑いながら走っている

 

 

僕は一番後ろを走っていた

 

 

追ってくる男の子の腕が迫る

 

 

後ろに感覚

 

Tシャツ背中あたりを掴まれる

 

 

「12345....

 

 

僕は顔を上にあげ

 

走っていたスピードを緩める

 

 

「678910!

 

 

男の子がそれだけ早口で言うと

 

 

僕は完全に足を止めて

その場で座り込む

 

 

「よしっ!!

 

 

Tシャツをつかんだ男の子は

それだけいうと

 

 

何事もなかったかのように

他の男の子を追っていく

 

 

僕はその後ろ姿を

 

ただ、見つめていた

 

 

 

 

 

 

「行ってきまーす

 

 

新しい学校

 

新しい家

 

 

前の友達はもういない。

 

 

眠たい目を擦りながら

 

 

学校までの国道沿いの道を

 

 

10ぷんかけて歩いていた。

 

 

先頭には背の高い女の子

 

 

今日の授業はなんだったっけ?

 

 

隣の車道では

 

車がビュンビュンと通り過ぎていく

 

 

後ろでは何か話し声がする

 

前では先頭きって女の子が

 

前を向いて歩いていく

 

 

周りを見てみると

 

僕らと同じ塊が1.2

 

車道を挟んで何人かいる

 

 

漠然とした不安があった

 

 

 

いつもと違う人たち

 

違う学校

 

違う道

 

 

ただ、朝はみんなと同じように

 

前は前へ進んでいた。

 

 

 

 

 

「転校してきたoと言います。よろしくお願いします。

 

 

この時のことは今も覚えてる

 

 

まともに聞いていた人がほぼほぼいないのだ

 

 

みんな何か楽しそうに話していた。

 

 

4-1組

 

 

その看板がぶら下がった部屋の中で

 

 

僕は左端の机に座っていた

 

 

出席番号、o

 

 

いつも窓際

 

 

oという名前の紙が貼られた机に肘をつき

 

黒板の左側を見た

 

 

1.国語

 

2.社会

 

〜昼休み〜

 

3.算数

 

 

「やった、3時間目か

 

 

小声で呟きながら

 

 

人の話し声がする中にいた

 

 

 

 

 

 

 

窓から見える空が赤みがかってきた

 

 

今日は雨は降らなかったな

 

 

黒板は授業を終えて

 

 

赤だか、黄色だか、青だか

 

 

薄く色が残っている

 

 

 

黒板の右下

 

日直

 

 

僕の名前はない

 

 

掃除は彼らに任せようか

 

 

「お前、駄菓子屋行こうぜ

 

 

正直この辺りのことは覚えていない。

 

 

こんな言葉だったか

または違う言葉だったのか

 

 

または言葉なんてなかったのか

 

 

それはともかく、僕は気づいたら駄菓子屋に行き

 

逃げる彼を追いかけ

 

 

彼が持っていたひもきゅうをちぎって食べた。

 

 

 

それからか何があったのか分からないが

 

 

彼がかなり本気で殴るようになったのだ

 

しかも突然、なんの前触れもなく

 

 

彼が近づくと

 

僕は恐怖に戦いていた

 

 

このあたりで、僕は

 

 

同級生と近づくと

 

体に激痛が走ることが多くなった

 

 

拳を振り上げてくるのか

 

または足を体に振り回されるのか

 

 

ともかく体に痛みが走ることが多くなった

 

 

しかも一人じゃない

 

複数の人にだ

 

 

 

ある下校時間

 

 

yくんが悪ふざけなのか近づくと

 

また体が痛くなった

 

 

体の右の脇腹あたりだ

 

、、、?

なんだこれ?

 

 

本気でやってるのかな

 

まぁ笑ってるし、大丈夫なのかな

 

 

また次の日

 

 

また彼が近づくと

 

体に衝撃が

 

 

今度は右のうで

 

 

、、?

なんか、やだ

 

 

けど笑ってるし

 

まぁ、、、、ちょっとだけ嫌だけど

 

 

まぁいっか

 

 

また次の日

 

 

今度はかなり痛い衝撃

 

 

なんだ!!!

 

 

なんだろう、これ

 

 

痛い、やだ、怖い

 

 

でも笑ってるし、、、、いやでも、、、

 

 

まぁ、、、、、、、

 

 

また次の日

 

 

昨日よりも激痛

 

 

すると僕の体が先に動いていた

 

 

彼の上半身から押し倒し

 

 

仰向けにして

 

 

その上で馬乗り

 

 

目から溢れてやまない

 

 

腰を浮かして

椅子にドスン!と座るように

 

 

激しく、何度も着地する

 

 

「わああぁぁぁ!!!

 

 

いつもの登下校の道

 

 

車がビュンビュン通っている

 

 

道路沿いの人たちが立ち止まっているのを

 

 

今でも、鮮明に覚えている

 

 

ふと立ち上がり、帰り道

 

 

右足を前へ、左足を前へ

 

 

大きく、大きく

 

 

そして速く、前へ、前へ

 

 

後ろから迫ってきそうで怖かった

 

 

だから徒競走よりも

 

運動会よりも

 

 

どんな時よりも

 

足は前へ前へ進んでいた

 

 

 

 

 

 

その日から彼は僕に痛いことをしなくなった

 

 

むしろ話しかけてくるのだ

 

 

ドラクエゼシカのスキル何育ててる?」

とyくん

 

 

「ムチスキル

と僕

 

 

「え!ムチなの!?僕は杖!!

 

 

体育館に向かう途中のこと

 

今でも鮮明に覚えてる

 

 

 

それから小学生を終えるまで

 

体に痛い思いをすることもなくなった

 

 

 

以前の学校であった

 

 

友達と笑い合う時間

 

 

走り回る時間

 

 

これを取り戻したのだ