コミュ障コンビニ店員、jkのLINE獲得

「〇〇くんみたい」

 

 

当時とあるフィギュアスケート選手がテレビで有名になっていた頃

 

 

1人のjkにそう噂されているのを妹から聞いた

 

ーーーーーーーー

【面接の電話】

 

 

僕は

じっとスマホ画面を見つめる

 

 

吹き出しの単語

一人ひとりのやりとり

 

 

別に特に友達がいるわけでもなく

話すことが得意でもなく

 

 

ましてや、子供からぶっきらぼうな自分が

 

 

jkとやりとりしているしているなんてにわかには信じられなかった

 

 

「あ、はい」

「それでは14時ごろお待ちしてますね!

 

 

全身が高揚感で暑く感じる

額から汗

震える唇

 

 

スマホを耳から目の前へ

赤いボタンと、緑のボタン

左右にわずかに揺れる人差し指

 

 

スマホを静かに置くと

mサイズの白いレジ袋から

紙を一枚テーブルに置く

 

 

ボールペンを手に持ち、机に向かう

 

ボールペンを紙に近づけ

 

はた、止まる

 

「あれ、今日何日だっけ、、?

 

机に置いたスマホの右側を押す

 

「あー、、

 

 

数字を書き込み

 

今度は

名前の欄を埋めていく

 

 

ものの5秒ほどで書き終えた後

 

 

あるいは筆が止まり

あるいはスマホを見て

あるいはスマホを撫でで

あるいは書きながら

 

 

そんな調子で、時計の針は

決まり切った規則で動き続けていた

 

 

 

 

 

「すみません

「あ、面接の子ね

 

 

ビカビカのコンビニの店内をくぐり

銀色の扉をくぐると

 

 

薄暗く、狭いバックルームに

1人の男性がパソコンの前で座っていた

 

 

笑顔。

20代に見える若い男性で

好青年に見える

 

 

前髪は長く、左右に分けて

剃り残しもなく、何より若く見える

 

 

ただ、このなんの変哲もない男性が

仕事になると接客のプロになる

 

 

「おはようoくん!

 

大きな声と

自信に満ちた声色

 

そして屈託のない笑顔

 

 

「あ、はい、おはようございます

「おーっ!?今日もイケメンだね!

「そ、そんなこと、ないですよ

「ははははは!!!!

 

 

店内に響き渡る軽快な高笑い

店内は

 

 

白髪短髪メガネのおじちゃんと

黒い作業着を来た髭をはやした30だいくらいの男性

 

 

「おーい!お会計

「あー!おはようございますー!

 

 

店長駆け足でレジ内へ

 

 

「昨日のさ!昨日の!

「うなぎ!箸入ってなかったよ

「ほんとですか!

「しょうがないから手で食べたよ

「、、、、、

 

 

白髪のメガネのおじちゃんは軽快に笑いながら話す

 

 

僕は青色のカゴの中の

さまざまな真新しいパンを

次々棚に入れながら、横目で見る

 

 

「ありがとうございます!

「箸、入ってるね

「はははは!!

 

 

お客様も、店長も笑顔

笑って、そのままメガネのおじちゃんは

自動ドアを通り過ぎていく

 

 

「あの人、元々はとんでもないクレーマーだったんだよ

「え、ほんとですか

「毎回くるたび、店長よべ!!って大声で叫んで、来るまでそこを動かない人でさ

「まじですか、、、、

「だからこう、、、うまーくね

 

 

と言いながら掌をピンと伸ばし

仰向けに向けて

球を転がすようにいろんな角度に傾ける

 

 

「じゃあ並んだらまた呼んでね!

「あ、はい

「おい

「あ、はーい!!

「36番

「36番ですねー

「こちらで大丈夫ですか?

「違う

「あ、

 

店員、レジの後ろを目を泳がしながら見る

 

「これですね!

「焼き鳥、もも

「あ、はーい

 

店員、焼き鳥のトングを取る

袋を手に取る

袋を開こうとする

手間取り、袋をなにやらいじる

袋開いて焼き鳥を取ろうとする

 

 

「、、、?

 

 

「すみません、焼き鳥のなんでしたっけ?

「は?もも

「はい、すみません

 

 

店員、焼き鳥をトングで掴む

しかしうまくつかめない

トングで焼き鳥を触り続ける

 

 

「はい、

「おせえよ!お会計

 

 

「あ、はい

 

 

 

「あ、ありがとうございましたー、、、

 

はぁっとため息をつく

 

震える指

全身震えるいるかもしれない

 

 

 

「oくん笑顔できてないよ

 

 

 

暗いバックルーム、男性2人

 

「そうですか?できてますよ

「そんじゃ笑ってみ

 

店員、少し微笑む

 

「うーん、、、できてないよ

「ほら!これに向けてやってみ

「はい、、、

 

 

店長手鏡を持ってくる

店員、手鏡に向かって微笑む

 

 

「ほら、全然じゃん

「、、、、、、、

「もっとこう、、、こんなふうに!!

 

店長太陽のような笑顔

 

「はぁ、、、、

「ほらっ、やってみ!

「、、、、はい

 

 

店員、弾けるような笑顔

と同時に、止まらない動機

 

 

「そうそう!いいじゃん!!

「はぁっ、、、そうですかね

「そんな感じでやってみなよ

「oくんおばあちゃん受けにいいからさ

「そうなんですか?

「はははははは!!!

 

 

「いらっしゃいませ!!

店員少し微笑む

 

「ありがとうございます!

店員、やけくそで弾けるような笑顔

客、そっぽ向き自動ドアへ

 

 

「、、、いらっしゃいませ!!

店員やけくそで笑顔

 

 

「、、、、??

「ふふっ、、

 

笑う30代主婦さん

 

 

「いらっしゃいませ!!

店員、弾けるような笑顔

 

おばちゃん、クリームパンひとつレジに置く

 

「ええ、ええ、じゃあこれね

「はいお預かりします!

 

 

「ありがとうございます!

 

店員、笑う

 

「ええ、あ、

 

おばあちゃんたち止まり、無表情になって店員を見る

 

「、、、?

「んふふふww

 

おばちゃん、自動ドアにむかう

 

 

ーーーーーーーー

 

それからのことは

ずっと元気よく、笑顔で接客していただけ

 

後は言伝で

妹から一緒に働いているjkが僕を知ってるということ

なんか〇〇くんみたいと、言っているということ

jkが働く店に行き、、ラインidを伝えたこと

そしたら、相手からメッセージが来たということ

 

 

コンビニで働くまで全くの無表情と言っていい状態から

少なくとも、jkにそう言われるくらいには笑顔で接客できたわけだ

 

僕なんかたいしたことないけど

笑顔で明るい店長がいなかったら

 

今も僕は無表情だろう

 

 

彼の笑顔で明るい接客が

僕を変えた