無知だと改めて思い知る日

俺ら人間なんて大馬鹿やろうだ

何もわかっちゃいない

 

 

飛行機の中、座席の中央に座って

窓を見る

 

 

窓から見えるのは傾いた海

 

 

窓からの景色は

 

海から

 

都会のビルの群れ

 

そして雲、と

 

景色を変えていく

 

 

飛行機

 

 

ごくごく当たり前のようにある

飛行機

 

 

2万円はらえば羽田から沖縄に行ける

 

 

10万払えば、アメリカにも行ける

 

 

当たり前の世界

 

 

窓の景色は真っ白い景色から

 

やがて下に真っ白な雲と

 

上には、真っ青に広がる空になった

 

 

今僕らは空にいるはずだ

それなのに上に空がある

 

 

これが僕らにとっての

当たり前の景色なのか?

 

 

2万円で離島へ

10万円で外国へ

 

 

空を飛ぶのは

当たり前のことか?

 

 

窓を凝視し

 

目に涙を浮かべながら

 

ただただ、窓の外の景色を見る

 

 

景色が変わらなくなってくるとあたりを見渡す

 

 

真ん中に通路

その両脇に席3つずつ

 

 

僕も含めた二人が座っている

 

 

新聞を広げる人

何やらモニターをいじるおばば

耳にイヤホンを入れて目を閉じる

白髪のおじさん

ただただ、体を傾け、目を瞑り、眠る男性

 

 

そして僕は

窓の外を見つめ

涙を流していた

 

 

新聞も、おんがくも、寝ることもせず

ただただ窓の外を見ていた

 

 

地を這って歩く日常からは想像できない

この現実を見ていた

 

 

いつもは僕も無表情で地を歩く

 

 

スマホを見て、文を書き、音楽も聴く

 

きっとイアホンにつけてるぼくに

 

「なんの音楽聴いてるの?」

 

と聞いたら得意げに

 

好きなミュージシャン

米津さんの話をするだろう

 

 

しかし、僕が何を知っているというのだろうか

 

 

こんな景色を見たことがない

経験もない

 

 

窓に目をやると

気づくと地上近くになって

 

 

山や、家などがポツポツと見える

 

 

これも今までない景色

 

 

人は何をわかっているのだというのだろうか

 

 

それは一番、僕自身に聞きたいことだ

 

 

傾く海を

空の上の空を

新しい景色を知らないで

 

 

一体僕は何を知っているというのだろうか

 

 

見慣れたであろう新聞を広げる老人

 

しかし僕は知ることに努めよう

 

 

きっとこれからも、知らないことには目を見開き

涙を流すだろう

 

 

ただ、それでいい

 

 

新しいことを知るのは

辛いことだ

 

 

涙を流すのは僕だけでいい

 

 

そしてみんなに何かできないか?

 

 

「着陸姿勢に入ります

 

 

そんなこと思い浮かべながら

 

シートベルトを閉める