社会に忘れられた場所

 

「学校いけ!!」

「嫌だ!!行かない!!」

 

 

登校拒否の中二男子

ゲーム器具が散乱する部屋で

大きな声が飛び交う

 

 

退屈であくびしか出ない授業

みんなに合わせて自由がない、縛られた環境の部活

どうでもいい先輩との関係

胸ぐらを掴まれ、腹パンされ、理不尽に殴られ

そして、仲間からの一斉とした白い目

 

 

「学校にはいいことがたくさんあるぞ!」

「どうして楽しくない学校に行かなきゃ行けないの?」

 

 

朝8時ごろに来ると自室ボロボロの扉が開く

 

毎朝尋ねてくるおじいちゃんは身長が高く、いつも部屋に来た

 

 

そして、9時だか10時だかになると帰っていく

 

 

そして、テレビをつけ、プレステを起動して

何かのソフトをプレイする

 

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信じられるだろうか、これが実際自分に起きたことだ

 

どちらが悪いとか、もうそんなことはどうでもいい

 

こんな意味のないことで消耗していた事実があるというのが、自分でも信じがたい、、

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テレビをつけ、なにかしらのゲームをつける

ドアが開き、妹が入ってくる

 

「もうok?」

「言ってやったよ、楽しくない場所だって」

「2階にも聞こえてたよ」

 

 

そう言いながら2人で画面を見つめる

 

コントローラーを渡すと、テレビがついて、オープニングの動画が流れる

 

 

いつもの映像と、いつもの音楽

映像には広大とした広場に1万もの人が密集している中

 

 

槍を持った1人の男性が彼らを蹴散らしていく

 

 

「キャラどうする?

「んーどうしよっかな

 

 

手のひらのコントローラ

○だか⬜︎だかついているボタンを

器用に押していく

 

 

画面を凝視し、細かいボタンを押し

2人並んで座って話している図

 

 

ずっとそれは変わらないまま

 

 

たまに声を大きくして

たまに前のめりになって

指が△だか×だかに激しく動いて

 

 

そうして外の景色は色を変えていく

 

 

窓から見える景色は変わらずとも

 

 

朝早い場合は薄暗く

 

昼になったら明るくなり

 

夕方になって、光が消えていく

 

そして夜になり、眠りに落ちる

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

布団から飛び起き、夢から覚める

 

 

 

 

 

 

 

 

それは学校の景色

自分が学校に行っていて

友達と笑い合っている景色

 

 

不登校なんて現実はそこにはなく

虐められる現実もなく

ただ、楽しそうに笑っている

 

 

本当に、そんな夢を何度見ただろうか

10回以上見たその夢の中

 

 

不登校で苦しんでいる夢は見たことがない

 

 

飛び起き、うつ伏せで突っ伏し

ただただ、枕を濡らしていた

 

 

テレビの上にある時計は何時だっただろうか

そんなことも考えもせずに、枕を濡らした

 

 

「、、、、ぇっ、、、ぐ、、、

 

 

誰にも気づかれないように、声を殺して

そして気づかないうちに意識が遠のき

 

 

またいつもの朝がやってくる

 

 

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僕はこのまま一回も学校に行くことなく中学生活を終えました。

 

 

10年経った今になってわかることは

 

 

人に対して説教している間は一切変わらない

 

ということです。

 

 

身を通して経験していることだし

それは確信に変わりつつあります。

 

 

おじいちゃんも一生懸命だったのでしょう

 

 

ただ事実、変わることはありませんでした。

 

 

少なくとも妹の存在は欠かせないものでした

もし1人であの中にいたならば

 

 

もしかしたら、僕は今これをかけてないかもしれなかったですからね