母
母と一緒に父との新婚生活のアルバムを見たことを覚えている
最初は魅力ある女性だったのだろう
しかし、離婚して、祖父の家に居候するようになってからは
男性恐怖症と名乗り、月に一回の病院に通って、毎日大量の薬を飲んだり
家でテレビをただただ見ていたり
後は疲れたようにアルバイトに行くだけの人になってしまった
僕は心底怒りを感じていることがある
それは彼女から力を奪った、何にもしなくても生きていける年金制度であったり
そこにいるだけで楽しそうだが、何の意味も、役に立たない情報ばかり流すテレビであったり
あれもこれもと肩代わりして、本人の成長を一切助長しない制度や人であったり
なにより、そんな母にたいしたことができない自分自身に、どうしようもない焦燥感や
フラストレーションを感じるばかりだ
あれもこれもと肩代わりして、代わりにやってあげることは一見とても親切に見える
しかし、それは他人の経験を奪っていることで
経験によっての成長をも奪い
自信も奪っていく
ただ、起こる出来事に対して、指を加えることしかできないのかと
自信をなくしていくばかりだ
経験を、他人に奪われることを続ければ、どんどん退化し続けて
最終的に本人はどんどんみすぼらしくなっていくばかりだ