あるイベントスタッフで働く25の男目線の一部風景

 

一番大事なのは

 

無事に帰ってくること

 

 

それだけを言い聞かせながらいつも家を出た。

 

 

アルバイト、特に派遣のアルバイト

 

 

たくさんの人が集まって重いものを複数人で持ち上げて運ぶ仕事

 

 

大きな会場


100メートルはあろう会場に


何台のトラックが来て

 


いろんな荷物が下ろされる

 

 

アート作品のようなものであったり


音楽を流す機材であったり


いろいろ流れてくる

 


それを二人くらいで


おもいものだと十人くらい集まって運ぶものもある

 

 

 

特に多いのはカーゴと呼ばれるもので


2mくらいの高さのある移動式の巨大なカゴ

 

 

僕はそのうちの一つを今日初めて見る人と

 

協力して運びながらこう思う

 

 

「この仕事、僕じゃなくてよくないか?」

 

 

いつもたくさんの人が集まって作業する

 

 

おはようございまーす

 

 

スマホで予約して

 

集合場所を地図で確認しながら行くと

 

だいたい人がもう集まっている

 

セブンイレブンの近くに2020/人くらいの


主に男性が集まって思い思いに過ごしている

 


スマホを見ている人がいれば


コンビニで飯を買ってくる人もいれば


「久しぶりだねー」


と話している人もいる

 


スマホを見ている人は


何を見ているのかなと思いながら


その群れに近づく

 


残り10m程くらいになるまで近づくと


他の人も僕に気づく

 


だけど無関心そうにスマホを見ていたりする

 

おはようございまーす

 

僕がそう声をあげると

 

周りの人の2、3人がこちらを見る

 


僕が声をあげるだけでスマホから目を逸らすなんて

 


スマホなんて所詮その程度なのかと思いながら、僕はその群れに混じる

 


時間になってテンコを取るまでは自由時間なのだが

 

僕はこの時間んは少し苦手だ。

 


僕は本を読むのが好きだけど


熱中するにはあまりに足りない時間だし

 

 

でもかと言ってやることもない

 

もちで無沙汰になってしまう

 


おはよー

 

〇〇さん

 

 

ちょうど自分の知っている人に声をかける

 

 

いろんな現場で共に仕事をしてきた

 

仲間のうちの一人

 


この時間はしょうがないから

 

 

人と話すことくらいしかできない

 


なかなかこの人とも仕事でしか話さない


プライベートで話すことなんて皆無だ

 


一時的に派遣で繋がる

 

派遣の絆というのも不思議なものだと思いながら

 

 

点呼を取るまで暇なので話したりする

 

 

点呼になると


名前をいうために長い行列にならぶ

 

 

僕はこの行列に並ぶのはあまり得意じゃない

 

 

そもそも、行列に並んだりするのとか

 

人と話すことに対してとか

 


仕事をすることが得意とかそういう人がいるのだろうか

 

 

どうも僕は集団に対して苦手意識を持っているみたいで

 


若干の恐怖さえ感じる

 


それは過去のトラウマかどうかはわからないけど

 


そう思いながら点呼を取る

 

 

oでーす
oくんね

 

じゃあこの辺で待っててね

 


で、テンコを取った後は


仕事のときの説明をして現場に行く

 


この説明を聞いている間は

 


何十年という単位で仕事をしている人たちは

 


説明そっちのけで仲間と雑談していたりする

 

 

なんだろうこの壁は

 


初めての人は

 

初めて僕が来た時も

 

うろたえながらテンコを撮ったけど

 


我関係ないように雑談をしている人がいた

 

僕が初めて働く時も


長年働いている人が

 

必ずと言って良いほど混じっている

 


僕はその人たちとの壁を感じてならない

 

そう思いながら集団の説明を受ける

 

だいたい容量を得ない説明だ

 

学校の授業を聞くような


「結局何が一番大事なんだ」

 

という説明が長々と続く

 


彼らは仕事をバリバリこなす

 

 

しかし人に何かを伝えるのは苦手なのだろうか

 

と思いながらその説明を聞いていたりする

 


僕はこの肉体労働をしていて

 

一番大事だと思ったのは

 

 

安全第一

 


それが一番だと悟った

 

 

いろんな作業をしていて気づいたことは


死ぬ危険があるということだ

 


行きたくて働いているのに


それで死んでしまうなんて

 

溜まったものじゃない

 


足の指を骨折したりだとか

 


指が一部ない人を見たりだとか

 

 

巨大なフォークという機会に

 


ボウリングのピンのように


なぎ倒されたこともある

 

 

幸いそのときは


左足のスネの側面がはれ上がるていどですんだだけど

 

後は単純に指を挟んだりとか


単純に危ない

 

 

なので何か作業をするときは

 


安全第一としている

 


容量得ないような説明を聞きながら


なんだかんだ安全が第一だよなと思い

 


ちょうど隣にいた人にも

 


「安全に作業するのが一番」

 

 

と伝えながら


仕事の説明を聞く

 

こんなに人が集まって

 

別に僕1人がいなくたって何も変わらないのではないかと

 

 

というのは常々感じてしまうところだ

 

 

実際急になって1人来ないとか

 

2人来ないとかそういうふうにぐちを漏らすような人がいる

 

 

どこにでもあるような、たわいもない話だ

 

 

誰が来ない誰が来ない

 

 

そんなのは世界で起きていることじゃないか

 

 

仕事する現場に向かいながら

 

僕はこの集団の群れの中に入ることに


自分自身悔しさや憤り

 

感じていたりする

 


なんでこんなところにいるんだろう

 

 

僕はこの人たちと何も変わらないのか

 


僕自身の価値なんてないんじゃないかと

 

 

自身っぽくはここで仕事に来なくなったとしても


代わりの人がいるのはいうまでもない

 

 

行っても行かなくても変わらないのではないかと

 

 

そう思い込み、仕事行ってもしょうがないんじゃないかと思ってる時期もある

 

 

大きい会場に続く道路と

 

駐車場を通りながらそんなことを思いながら歩いている

 


周りを見るとあいも変わらずスマホを見る人や

 

ただ歩いている人

 

 

また、雑談をしている人がいる

 


だって、彼らがいるじゃないか


こんなにたくさんの人がいて


彼らがいるじゃないか

 


僕がいる意味はあるんだろうか

 


いろんな現場に行って


いろんな仕事をして


いろんな人と話していると

 


どうも僕はこの仕事に合っていないような気がしてくる

 


些細なことでキレる人がいる中で


問題を起こしそうになったこともあるし

 


怪我をすることもしょっちゅうだ

 

 

実際、直前になって

 

バイトに行くのをやめた時もある

 

 

僕のような人間が

 

そもそもここにいること自体が間違っているのではないかという気がしてならない

 

 

最も良いのは


何か人に伝えたいことを

 

言葉たっぷりに

 

 

それこそこのブログを書くように

 

人に伝えることができるなら嬉しい。

 

 

最も、何もしていないよりかはマシではある

 


そんな仕事が僕は愛しているわけではないが

 

 

僕以外の人たちは果たしてこの仕事が好きなのだろうか

 

 

それとも生きるため


お金を稼ぐために来ているのだろうか

 

 

広い駐車場を渡り終えると


入り口に受付の人と


警備員さんがいる

 

 

「おはようございまーす」

 

 

仕事自体はイエスマン


物言わず、運びまくるが

 

人間なので、挨拶をする

 

 

そうすると不思議なことに


僕より後ろにいる人たちも


警備員さんに挨拶をし始める

 


どうしてだろうか

 


時たまリーダーさんに

 


「仕事してる人相手に挨拶するんじゃない」

 

 

と言われたりするが、無視している

 

 

だって挨拶されたら嬉しいじゃないか


みんなだって退屈なんだ

 

みんなだってこの仕事を心底楽しんでいるようには見えない

 


雑談はそこそこ楽しそうにしているかもしれないけど

 

 

単純作業をしていて楽しそうにしている人を正直見たことがない

 


ましてや警備員さんなんて

 

そこに突っ立っているだけの仕事だ

 

 

話しかけられて喜ばない人は

 

いないんじゃないだろうか

 


僕はそんな思いから


挨拶をしたりしている

 


そもそも挨拶をするなというのは

 

本気で言っているんだろうか

 

 

その人にとっての信条なんだろうか


それくらい大事なことなんだろうか

 


それとも思いつきで言っただけの

 

言葉なんだろうか

 

 

それとも喋ったことすら

 

自分で気づかないくらい


無意識なものなのか

 


何にしても僕に言われた言葉は一度は受け取る

 


しかし何度も聞いたことであったり


つまらないことであったり


たいして大事なことでないことであったり

 


何より、正しくないと思ったことに関しては聞き流している

 


会場の中に入り、仕事する現場を見ると


いよいよ、ここで働くんだという実感を得る

 


「あー、、今日はここで8時間働くんだー、へぇー」

 

 

僕は何のために生きているのだろうか

 

みんなとおんなじことだけして

 


正直間違っているような気がしてやまない

 


ここに来てはいけないような、そんな気が

 

そんな思いがありながら、今日も働く

 


そんな思いはいつしか信念となって

 


僕の人生を大きく変えることになるとは知らずに