フル充電スマホ1つで縄文時代

「んあっ?

 

 

全裸に右手にスマホ一つ

 

 

そこで雑草の上で仰向けに

 

大の字になっていた

 

 

目の前に広がるのは空。

 

晴れてる

 

あれ?昨日ちゃんと布団に入ったよね?

 

 

起き上がり、あたりを見渡す

 

 

ひたすらに広がる、木

 

緑、森

 

 

なんだ?

 

うちの近くにこんな森あったかな

 

 

住宅街のはず、、、?

 

 

何かがおかしい

 

 

「え?

 

 

ふとスマホをつけて時間を確認する

 

12:03

 

 

寝過ぎたかな

 

 

昨日の夜に充電してたおかげで

 

 

100%と、さんぜんと輝いている

 

 

別になんてことはない表示のはずだが

 

ひとつだけ気になることがあった

 

 

圏外

 

 

「ん?料金止められたかな?

 

 

ネットで調べようと

 

Safariを開くが

 

 

インターネットに接続されていません

 

 

「なんだよぉ

 

 

と言って寝転がろうとして

 

立ち上がる

 

 

なんだ、、、?

 

 

というか痒い

 

 

なんだぁ!!

 

 

「うわぁ!!蚊だぁ!!

 

 

そう言って立ち上がるが

 

足にも違和感がある

 

 

スリッパ、ねぇ!!

 

というか服ねえ!!

 

 

「うわ!やばっ!!

 

 

何か変なものを踏まないか気をつけながら

 

 

なんのあてもないまま

 

 

慎重に、一直線に歩いていく

 

 

「なんだ!!人か!?

 

 

全裸で歩いて、1時間ほど

 

 

ただひたすら森、木しかない場所を

 

茂みをかきわけ、進んでいた

 

 

蚊がいるのはもちろん

 

茂みの中の木の枝や

 

謎の突起などで

 

足の皮も擦り切れ

 

血も滲んでる

 

 

ただ、それ以上に

 

自宅で寝てたらいきなり

 

森の中、という異常

 

 

それに本当の意味で気付いてから

 

 

足の怪我なんてどうでも良くなっていた

 

 

手に持つスマホ

 

怪我を治すのには、役に立たなそうだ

 

 

茂みの草を見ても

 

食べていいものなのか、さっぱりわからない

 

 

命の危機を、肌で感じた

 

 

コンビニも、スーパーもない

 

せめて人はいないか、、、、

 

 

祈るような気持ちでただ歩いていた

 

 

そんな中、一人

 

大木の中で何やら佇んでいる

 

 

葉っぱを腰に巻き

 

肌は褐色

 

近くには先に鋭い石がついた棒

 

槍か何かだろうか、、、

 

 

僕が持っているのはスマホのみ

 

武器としては投げるくらいしか役に立たない

 

 

けれど、光は出る!写真は撮れる!

 

何かしらの交渉に使えるかもしれない

 

 

スマホを手放すのは惜しいが、、、、

 

このままだと命が危ない

 

 

単純に、飢え死ぬ

 

 

言葉が通じないかもしれないが、、、、

 

 

そんなこと、木の枝で

 

ズキズキ痛みどうでも良くなっていた

 

 

言葉が通じなくても

 

なんとかならないか!!?

 

 

「こんにちはー!」と僕

 

 

「あ!?オメー誰!?」と謎の男

 

 

謎の男、槍を構える

 

 

「すみません、なんもしないです!!ノー!ノー!!

 

 

僕、スマホを持って手を上げ、首を振る

 

 

「オメーその手のもの落とせ!!

 

 

「くらえぇ!

 

 

スマホの懐中電灯機能をオンにする

 

スマホ、光る

 

 

「はぁ!!なんだぁぁ!!!!」と謎の男

 

 

「オメー!!!〜〜〜!!

 

 

なんだか国のこととか

 

敵のこととか、なんとかまくし立てている

 

 

うわ、すごい

 

 

スマホ光らしただけでこんなに取り乱すんだ

 

別に、当たり前のことなのに

 

 

そんなことを思いながら相手がしゃべり終えるのを待つ

 

 

「オメー!!!!

 

 

突如槍を構えて突っ込む謎の男

 

 

僕、走る

 

 

足、泥だらけ

 

 

木の枝深く食い込み、流血

 

 

右奥歯を食いしばる僕

 

 

歪む顔

 

 

反して加速する足

 

 

謎の男、走る

 

 

しかし、僕との距離は離れていく

 

 

僕、背丈のある茂みに突っ込む

 

 

右脇にそれて、声を殺す

 

 

10匹以上による蚊の襲撃

 

 

しかし、みじろぎせず

 

 

遠ざかる「オメー!!の声

 

 

目の前には茂みの緑

 

 

聞こえなくなる声

 

 

「、、、、、、、なんてことだ

 

 

あたりは暗くなり始めて

 

夕焼けが闇に包まれ始めていた

 

 

 

 

ひかるスマホ

 

 

視界にはスマホの光と、緑色

 

 

充電は10%を下回った

 

 

いまだにゆっくりできる場所すらない

 

 

せめて明かりを消したい

 

 

しかし、それがどうしてもできなかった

 

 

布団で寝てただけ

 

そしたら全裸になるわ

 

足傷だらけになるわ

 

 

あまりにも、理解の範囲を超えている

 

 

頭がどうかしてしまいそうだった

 

 

充電の量なんて、気にも回らない

 

 

ただただ、この光だけが、僕にとって一番信頼できるものだった

 

 

「、、、、死ぬのかな

 

 

すると遠くにスマホの光とは別の光を見つける

 

 

赤く、何やら光っている

 

 

あまりの痛みに、ぼんやりした頭に

 

その光に僕は引き寄せられるように歩いていた

 

 

「ウッホーーー!!!

 

 

ああ、人の声がする

 

 

なんだか楽しそうだ

 

 

スマホを切るのも忘れて

 

ただひたすら歩いていた

 

 

近づくとと目に見える

 

 

大きな火

 

取り囲む20人もの人

 

 

そのうちの大男、僕を指差す

 

 

「光る神、ついに現るうぅぅ!!!

 

 

光る神?

 

ああ、スマホのこと?別に普通だよ

 

 

それよりも充電が3%だ、やばい

 

 

充電が切れたらどうなるんだろ

 

 

さっきみたいに「オメー!!って言われて

 

殺されかけるのかな

 

 

がんばれ、僕のスマホ

 

君が、僕の生命線だ

 

 

何やら、大きな声

 

突如大男、ひざまずく

 

 

そのほかの人、一斉に跪く

 

 

「こんちは」と僕

 

 

大男何やら叫ぶ

 

 

一通り喋り、沈黙

 

 

「足が痛いです

 

 

大男、大声で何やら誰かを呼ぶ

 

瓶を持った人、かけてくる

 

 

瓶の中の液体を足に投げるようにかける

 

 

「それと充電がやばああぁぁぁぁあああ!!!!

 

 

僕、叫び、倒れる

 

 

目に映るのは

 

1%スマホ

 

 

ああ、電池が、、、

 

 

どうなるんだろ、僕

 

 

生きて、スマホ没収か

 

殺されるかなのかな

 

 

スマホ没収されたら何ができるんだ

 

 

というか僕の部屋どこいった

 

充電したい

 

 

コンビニ行きたい

 

お布団欲しい

 

 

僕の生活どこいったんだ??

 

 

というか、充電、やばい

 

 

そんなことを思いながら

 

液体で麻痺していた足の激痛が

 

 

すぐさま脳を直撃して

 

意識がわからなくなる

 

 

 

 

 

 

 

スマホ使いたい

 

 

その思いだけで僕は電気を発明した

 

 

だって友達と連絡取れないじゃないか

 

ゲームできないじゃないか

 

動画見れないじゃないか

 

 

充電切れたら

 

殺されるのかなーっと思ったけど

 

 

毎日お米くれて

 

大男が僕にお辞儀するようになった

 

 

ただ、僕は、スマホ使いたい

 

 

この住民たちが家に使っている

わらから始まった試行錯誤は

 

 

ついにスマホ充電音を鳴らすことになった

 

フォン♪

クレイジーなハーフhくんと僕

「外国人でいい奴はこいつとこいつとこいつ

 

「hは?

 

「あいつは、、、、終わってる

 

「ああ、あいつはクレイジーだよな

 

そんなことを聞き流しながら

 

 

教室の中で、次の授業に使う教科書を探す

 

 

僕の教室には

 

ハーフだか、外国人だか

 

何人かいる

 

 

彼らは

 

名前がカタカナだったり

 

また、肌の色が違ったり

 

顔が外国人風であったり、様々だ

 

 

そんなことどこ吹く風と言いたげに僕は

一切気にするそぶりを見せず

 

次の授業で使う教科書を

 

2〜3冊、テーブルの上に並べる

 

 

「んーー!!

 

 

「わっ!!!

 

 

突如として腕をつねられる

 

しかし腹から出る声とは裏腹に

全く痛くない

 

 

「なんだよ!!

 

 

そう言って振り返ると

 

上にも、横にも巨大な男の子が一人

 

 

hくんだ

 

 

髪は縮毛で

 

大きい体と裏腹に、肌は白い。

 

 

「次の授業なんだっけ?

 

 

「次?理科だよ

 

 

僕は黒板に目をやる

 

 

「お前もう準備してんの?o偉いなー

 

 

そう言って山のように大きい彼は

 

感心したように僕の机に目をやる

 

 

「んーまたなー

 

 

唐突に彼はどこかに行ってしまった

 

一体なんだったんだろうか

 

 

突然の出来事にやや放心状態になりながら

 

 

衝撃的なこの一瞬を頭の中で振り返っていた

 

 

 

彼と僕の授業態度はほぼほぼ真逆だ

 

 

例えば僕は夏休みの宿題は

配られた直後から取り組み

 

あっという間に終わらせてしまう

 

 

対してかれ、hは平気で忘れてきて

 

 

空欄でぐしゃぐしゃの紙を

素知らぬ顔で提出する

 

 

また彼はよく決まった人と

小さな人だかりを作り

 

 

やや騒がしくして

まとまって帰路につく

 

 

対して僕は

基本一人で、何も喋らず帰る

 

 

絡まれると楽しげに話して帰るものの

 

一人で帰ることが圧倒的に多かった。

 

 

またクラスで一番大きな顔をしていら人との関わり方も

違っていた

 

 

僕はあまり興味が持てず

無視していたが

 

 

側から見ると弱いものいじめ的な感じで

たまに絡まれていた

 

 

対してかれは

大きな顔しているやつにも平気で切り込む

 

 

この時は、いつものふざけてる感じとは違う

 

 

声のトーンが重くそ下がり

威圧するように低い声で言う

 

 

「お前〇〇あんま調子乗んなよ

といった具合だ

 

 

そんな彼のことをヒーローだか

思ったのかは知らないが

 

 

彼と一緒にいることも多くなり

 

 

数回一緒に遊ぶこともあった

 

 

 

 

 

「よぉー!o!

 

彼に出迎えられ

彼の友達と、3人で友達の家に上がる

 

 

「こっちこいよー!

 

 

そんな声につられるように

2階へ登ると

 

 

横にも大きいhくんに引けを取らないほど

 

大きな姿

 

 

黒い眼鏡をかけて

 

歯は

茶色くなり

所々黒くなっていた。

 

 

そんな歯を知ったか知らずか

彼は笑うのだ

 

 

彼の苗字はh

 

 

はじめの、横にも縦にも大きい彼のイニシャルは

h.h

 

またメガネの歯の子のイニシャルも

hだ。

名前は覚えてない

 

 

「この子がo?

 

「そう、こいつー!

 

 

そう言ってメガネは

 

黒い拳銃のようなものを取り出す

 

 

ビービー弾を飛ばすエアガンだ

 

 

「え!?エアガン!?

 

 

僕は心臓を弾ませた

 

 

僕は音の出るピストルは持っているが

玉が出ない

 

 

とんでもない音がする

運動会の徒競走の時の音に

 

 

引けを取らない

 

 

それどころかもっと大きいかもしれない

 

 

以前そのピストルで

パーンっと何度か鳴らしたが

 

 

弾が出なくてがっかりしたからだ

 

 

「エアガン!?いいなー」と僕

 

 

「欲しいの?よかったらあげるよ

別にいらないし」とメガネ

 

 

「くれるの!?僕音の出るピストルはあるんだけど、、、、

 

 

「え!!?お前の持ってるやつ音でんの!!?

 

 

「うん、めっちゃでかい音

 

 

「え、俺そっち欲しい

 

 

「今家にあるから持ってくる!!ちょっと待ってて!

 

 

友達の家を飛び出し、脱兎のように駆けていく

 

 

あのエアガンが!!

 

みんながなんか話してるエアガンが!!

 

 

そんな思いで

 

家に直帰して

そして戻り、交換する

 

 

「へぇ〜!!これが」とメガネ

 

 

パーンっ!!!!

 

 

ビクッと体が震える

 

 

「いいね」とメガネ

 

 

「ファッ!!今鳴らす!?」と僕

 

 

「わははははは!!」とh.h

 

 

家の人が怒るんじゃないかとハラハラをよそに

 

彼h.hは笑っていた

 

 

 

 

 

卒業アルバム制作

 

 

「ねぇ

 

 

「んあっ?

 

 

「ここに、名前書いてよ

 

 

彼h.hとは多くの面で違っていたが

 

少なくとも卒業の時

 

僕のアルバムの裏には

 

 

hくんの名前が刻まれていた

派遣労働、出禁とその後

プシュー!

 

バスから降りる

 

 

どこだここ?

 

 

あたりをキョロキョロしながら

 

スマホを確認する

 

 

「今日の仕事はこの辺だよな、、、?

 

 

1分だか2分だかスマホを操作して

 

首を傾げながら徐に歩いていく

 

 

周りを見渡すと

 

辺りは住宅

 

あるいはマンション

 

あるいはさびれたコンビニ

 

 

住宅街をすすんでいくと

 

 

一際大きい建物に入る

 

 

「、、え?本当にここ?

 

 

そんなことを呟き

 

足は止まる

 

 

白く、大きい建物

 

 

マンションより小さいが

 

何やら看板に〇〇会社とか書いてある

 

 

「まぁいっか

 

 

そんなことを言いながら建物の中に入る

 

 

「おはようございまーす

 

 

知らない場所に入った僕だが

 

そこでとんでもない間に合うことになるのは

この時知らなかった

 

 

 

派遣労働

 

 

なぜ僕がこれをやっているかは

 

単純に生きたいから

 

 

年金

 

光熱費

 

ネット代

 

食費、、、、

 

 

通帳と睨めっこしながら

 

これらの出費を確認していくと

 

 

すでに貯金残高は0に近い

 

 

金、ねえ。

 

 

0になったらどうなるんだろう

 

 

ネットが止まるのか?

 

年金払ってくださいねという通知でもくるのか?

 

 

またはテレビで見る

差し押さえとかくるのか?

 

 

そんな漠然とした恐怖を抱えて

 

タウンワークをめくる

 

 

 

しかし、面接にうからない

 

なぜだろうか?

 

 

食費とか、年金とか、いろいろかかるのですが

 

 

だから面接入らずの派遣労働に行くのは

 

ごく自然の摂理なのかもしれない

 

 

事務所っぽいところの扉を開けると

 

中には制服を着た人が数人

 

 

人100人は入りそうな事務所には

 

半分が机で埋め尽くされ

 

 

その机も半分以上は

 

ファイルだか、書類だから何か知らないが

 

 

紙で埋め尽くされている

 

 

ふと首を左にやると

 

 

貸し出し用の制服を着る男性一人

 

 

僕の仲間だろうか

 

 

「はい、初めての人はそこに名前書いてねー

 

 

誰に話しかけるわけでもなく

 

独り言のように呟く人の声で

 

 

僕は名前を書き、制服を着る

 

 

なれた手つきで服を着る人の真似を着て

 

コロコロローラーを体にコロコロしていく

 

 

そして手を洗ったり

 

手袋をしたりしながら

 

 

仕事場へ向かう

 

 

 

ここへくるのは初めてだ

 

 

当然どこに何があるのか

 

どんな人がいるのか

 

また、どんな仕事をすればいいのか

さっぱりわからない

 

 

「初心者大歓迎!

の文字を見ても

 

 

求人の情報を見ても

 

 

仕事内容がいまいちしっくりこない

まぁ、行けばわかるだろ

 

 

こんな状態で仕事なんて、できるのだろうか

 

 

どうやら食材を取り扱うみたいだか

 

 

リンゴの皮くらいしか剥いたことのない僕に

 

何ができるだろうか、どうしよう

 

 

仕事場に行くと

 

 

僕と同じ

真っ白い服に身を包んだひとが

 

 

散らばって

 

 

何かのケースを転がしていたり

 

または長い機械に集まっていたり

 

 

また、流れていくプラスチックの入れ物を

 

何か触っている

 

 

「あの、今日初めて来たoです!手伝えることはあります!?

 

 

「んー!?今日きた子?じゃあこっち

 

 

高いクシャッとした声からし

おばちゃんだろうか

 

 

真っ白いおばちゃんは

 

 

そう言って手招きも何もすることなく何かの機械に真っ直ぐすすんでいく

 

 

「ここ!カボチャ2個ね

 

「それで!これ!みて!!」とおばちゃん

 

 

差し出したるは何やら1枚の紙切れ

 

透明なボードに挟まっている

 

 

「カボチャは、、、ここね!

この右端に、、向きは互い違いにして、、、

 

 

僕に話しかけているのだろうか?

 

そうしゃべりながら

 

何か説明していく

 

 

向き?右端?

 

 

どうしよう、全部同じに見える

 

 

僕に話していたであろうおばちゃんは

 

 

また白い格好をした人にまた何か話していく

 

 

「ここにおかないとダメだから

 

 

何がダメなんだろうか

 

別に左端でも、向きが違っても

 

 

入っていればいいんじゃ無いだろうか

 

 

というかそもそもカボチャの向きなんて

 

食べる時気にしたことないぞ

 

 

「じゃあ流すよーー!!

 

 

そんな考えはぶっ飛び

 

 

謎のベルトコンベア?

 

シャベルカーのベルトみたいなものが自動で動き

 

 

まめだか入ったプラスチックの容器が

 

僕の前に流れていく

 

 

タッパに入ったカボチャを取り出し

 

2個入れる

 

 

取り出し入れる

 

取り出し入れる

 

取り出し、、、、

 

 

プラスチックの容器は鬩ぎ合い

 

次々と僕の前に流れていく

 

 

2個のつもりが3個取り出し

 

1秒余計に時間がかかる

 

 

2個取り出したつもりが

1つが小さすぎ、カボチャを取り替え

 

 

さらに容器が奥に進んでいく

 

 

手の動きは早くなるが

 

指先の動きは空気を掴んでいく

 

 

「カボチャ追いついてない!

と声

 

 

「止めてー!!

と別の声

 

 

するとずらりと並んだプラスチック容器は

 

動きを止める

 

 

ここぞとばかりにカボチャを入れていく

 

容器の右側だったり、上側だったりしながら

 

 

向きは互い違いだったり、向き合っていたり

 

 

「ねぇ、カボチャ、むき違うよ」と別の声

 

「これはね!こう持って、、、、」と別の声

 

 

あれこれ何か言ってるなお思ったら帰って行き

 

また機械は動き出す

 

 

向きはともかく、早く入れなければ

 

 

とにかく、手を早く動かしていく

 

丸い掌サイズのプラスチック容器が流れていく

 

 

豆の量が多かったり、少なかったり

 

 

?カボチャ以外も問題あるのでは?

 

そう思いながら

 

ただただ手は

 

タッパとプラスチックの容器を往復していた

 

 

「ちょっと止めてーー!!

 

 

また声

 

 

「違うよーカボチャはこう入れるんだよー!

 

 

心臓の鼓動が速くなる

 

 

全身の血管がぎゅっと

縮こまるような、そんな感覚

 

 

そんな感覚に任せて

 

僕は気づいたら軽く飛び跳ねていた

 

 

「えーー!飛び跳ねちゃダメだよ!

なんかこの人変!!

 

 

「報告してくる!

 

 

なんだかそんなことを言って

 

先ほどのおばちゃんはどこかへ歩いて行った

 

 

「流すよーー!

 

 

先ほどと同じく、同じようにカボチャを入れていく

 

 

何だか全部同じに見えてきた

 

手の動きも先ほどよりスムーズになる

 

 

だんだんなれてきた目で

 

次々とカボチャを入れていく

 

 

そんな調子で入れていくと

 

丸いプラスチックの容器が忽然と消える

 

 

「次はね、これ!

と声

 

 

何だか白い人たちが

 

1枚の紙を見て話している

 

 

何だ終わりか

 

 

「ちょっと君!

と声

 

 

振り返るとまた白いひと

 

今度は男性みたいだ

 

 

「はい!なんですか?

と僕

 

 

「君は帰る支度をしてもらって、、、

と男性

 

 

「え、、、

 

 

「、、、もうこれない?

と僕

 

 

「そういうこと、だね

と気弱な声で、男性

 

 

「わかりました、ありがとうございました!

 

 

そう言って僕は颯爽と着替えて

 

またバスに乗った

 

 

どうしてこんなことになったのだろうか

 

 

二度とこの職場に行けなくなってしまった

 

僕が何をしたのだろうか?

 

 

とんでもない不幸だ

 

 

カボチャを入れるのが遅い僕と

 

それだけを気にする人と

 

権力をふるう偉い人と

 

 

全てが悪い方向に噛み合ってしまった

 

 

数々の仕事先で働いたが

 

二度といけなくなった職場はここひとつだ

 

 

あまりにも環境と合わなすぎた結果だろうか?

 

 

通帳にはマイナスで表示される

 

 

年金の文字

 

 

そのあとはこんなことにならないよう

 

きあいを入れた

 

 

そしたら.2つの職場で働けるようになった

 

 

面接なしで、一つの場所にはいけなくなったが

 

面接有りで.2つの職場で働くことができたのだ

僕はシスコンゲーマーだった。

まだか

 

和式6畳の部屋の中

 

テレビはチカチカと光を放っている

 

 

次々と画面が映り変わり

 

 

あるいは木であったり

 

 

あるいは数字であったり

 

 

こうげきりょく

 

しゅびりょく

 

などと文字が表示されたり

 

 

すると画面が暗くなって

 

現れたのは

 

 

銀色の丸い物体

 

 

動かす指が早くなる

 

 

いつもは

←↑〇

 

で指が止まるが

 

 

〇→〇〇〇→〇〇〇〇、、、、、

 

 

入力を終えると

 

 

画面が忙しなく動き

 

一際光と音が激しくなる

 

 

ピロピロリーン♪

 

 

「ふぅ

 

 

ドアに目をやる

 

 

まだか

 

 

まだ妹は起きないのか

 

 

せっかく準備してるのに

 

 

せっかくレベル上げてるのに

 

 

起きてきたら早速20レベルも上がったことを教えよう

 

 

あともう少しなんだ

 

 

時計は8:00

 

 

男の子はソワソワしながら

 

 

忙しなく指を動かしている

 

 

レベルが上がっているのを知ったらどんな反応するだろうか

 

 

驚くだろうか

 

すごいと言うだろうか

 

それとも、一緒になって喜んでくれるか

 

 

心持ち口角が上がる

 

 

もうそろそろ起きてくる時間のはず

 

 

ばたばたばた

 

 

きた!!!

 

 

いつもはそれとなく動く指が

 

ややぎこちなくなる

 

 

ガチャ

 

 

「おはよー

 

「おはよ

 

 

はやる気持ちを抑えながら

 

努めて冷静に振る舞う

 

 

「今日出かけるから

 

 

あれっ?

 

 

「そう?いってらっしゃい

 

 

「うん

 

 

そう言って準備のため退出する妹

 

 

画面のこと、気付いてもらえなかった

 

 

「出かけるのかよ、、、、

 

 

やや落胆した声で呟いた

 

 

ピロピロリン♪

 

 

テレビ画面は変わらず動いていた。

 

 

 

 

午後5時

空が狐色になってきたころ

 

 

僕はパソコンを何やら動かしていた

 

 

画面に表示される文字は

 

Amazon

 

 

「うーん、、、二人でゲームできるソフトないかなぁ、、、、

 

 

ゲーム説明欄の

 

〇〇人プレイ

 

という項目に目を凝らす

 

 

星は4つ

 

ゲーム環境もある

 

 

「、、、、、、、、、

 

 

ゲームプレイ人数、、、

 

 

「、、、うーん

 

 

画面を閉じて

 

また、ソフトのパッケージがずらりと並ぶ

 

画面に戻る

 

 

「なんか、、、ないかなぁ

 

 

数々のパッケージの中

ふと目が止まる

 

 

その時目に映るのは

 

 

ピンク玉

 

 

カービィ、、、、

 

 

星は4

 

 

パソコンを動かし

 

ドラッグしていく、、、

 

 

「、、、、、

 

 

プレイ人数

2〜4人

 

 

よっしゃ!!

 

 

と同時に数字に目を向ける

 

 

3000円

 

 

「いやぁ〜、、、中古でこれかぁ、、、

 

 

しばらく画面を見つめる

 

 

2〜4人

「、、、、、、

 

 

カーソルは右に動いて

 

人差し指が動く

 

 

注文を確定する

 

 

「はぁっ、、、、、

 

 

体が横に傾き

 

 

そのままバタッと倒れ込む

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おはよー」と妹

 

 

「おはよ」と僕

 

 

そういうと徐に

 

段ボールかに手を突っ込む

 

 

「眠い〜

 

 

「ねぇこれさ、見てよ!!

 

 

「ん?

 

 

手を前にだし

 

ピンク玉が映った薄い箱を差し出す

 

 

「あっ、カービィじゃーん!!

 

「昨日届いたんだ」と僕

 

「ふーん

 

「これさ二人でプレイできるんだよね

 

「あっそ

 

手を戻してパッケージを開く

 

妹は目をそらして何やら青い機械を見ている

 

 

果たして大丈夫だろうか

 

 

妹はわがままで気まぐれだ

 

 

ゲームを見て欲しいとかも

 

見たり、見なかったり

 

また、機嫌が悪かったり、様々だ

 

 

またゲームの好みも違う

 

 

僕は超難しいゲームを

 

何度も死にながらクリアするのが好きだ

 

 

対して妹は

 

何だかよくわからないが

 

 

若い男の子が映っているパッケージのものをよく買ってくる

 

 

また、対戦しようにも

 

負けるのが嫌だといい

 

なかなかとりあってくれない

 

 

しまいには怒り出してしまう始末

 

 

今回はどうだろうか、、、、、

 

 

「これさ、、、二人でやってみよう!!

 

「えー

 

「せっかく買ってきたんだからさ、3000円もしたん」と僕

 

「今日大丈夫?友達との約束とか

 

「まぁそれは大丈夫だけど、、、うーん

 

「10ぷんだけでいいから!!

 

その言葉の途中で妹は畳に座って

 

リモコンを握る

 

「まぁちょっとだけね

 

「よっしゃ!!

 

 

そう言って二人で並んでリモコンを握る

 

 

そしてそのまま、お昼まで

 

二人は動かなかった

 

 

醜い兄妹喧嘩に終止符を打つ

一つの額縁に、一人の顔

 

 

その両脇にはきれいな花束

 

 

真っ黒の服に身を包んだ一人の中年男性が

 

 

手を合わせ、俯く

 

 

しんと静まり返った会場に

 

 

小学生の兄は座っていた

 

 

そこに同じくらいの女の子が近寄って

 

 

何やら口を開く

 

 

「私、そこがいい」と女の子

 

 

「お兄ちゃんが座ってるでしょ」と成人女性

 

 

「やだ」

 

 

「静かにしなさい!!」

 

 

「やだ!!そこがいい!!お兄ちゃんずるい!!!

 

 

わっ!と泣き出す女の子

 

 

すると成人女性は男の子に耳打ちをする

 

 

「ごめん譲ってもらっていい?

 

 

「、、、、、じゃあポケモン買ってね

 

 

それだけ言って立ち上がる男の子

 

 

いつも、妹ばかりずるい

 

 

男の子は何も言わず、違う席へ移った

 

 

一軒家の玄関をくぐり

 

 

3メートルほどの廊下を進み

 

 

スリッパを脱ぎ

 

 

男の子は6畳ほどの畳の部屋に足を踏み入れる

 

 

女の子も続いて入る

 

 

「手を洗わなきゃ

 

 

洗面所で石鹸で手を泡だらけにして、すすぐ

 

真っ黒い液体を取り出し

 

小さいコップにほんの少し注いで

 

水を並々まで入れる

 

 

黒く濁った水を口に入れ

 

 

上を向き、ガラガラと音を鳴らす

 

 

そのあと何度も何度も水道水を口に入れて

口を濯ぐ

 

 

「はい、作っといたから

 

 

「うん

 

 

後ろで待ってる女の子に話して

 

 

部屋に戻る

 

 

男の子は部屋に上がると

 

 

テレビの前で何やら機械をいじる

 

 

男の子の胴ほどありそうな機械を

 

 

何やらカチカチと動かしている

 

 

テレビがつき、何やら

 

 

ウォーンだか何かしらの音と共に

 

 

階段を登る音がする

 

 

僕には共用の部屋しかないのに

 

妹には、個室がある

 

ずるい

 

 

「ねぇねぇ、僕も部屋欲しい」と男の子

 

 

「〇〇のへや?うーんそうねぇ」と成人女性

 

 

「僕も欲しい、何で僕の分はないの?

 

 

「とは言っても部屋はもう空きがないからねぇ

 

 

「、、、、、

 

 

自分でもどうして部屋が欲しいのがわからなかった

 

 

僕の分も欲しい

 

 

妹だけあって、僕がないのはずるい

 

 

「なに?」と女の子

 

 

「お兄ちゃんも部屋欲しいんだって」と成人女性

 

 

「えー、、、、」と女の子

 

 

「だって、〇〇だけずるいじゃん」

 

 

「それはそうだけど、、、でも部屋もないし」

 

 

「うん」

 

 

何でだ

 

 

「何でよぉ!!ずるいよぉ

 

 

試しに泣いてみようか

 

そしたら、、、あるいは

 

 

「ずるい!ずるいぃぃぃ!!!!!

 

 

静まり返った家にこだまする

 

男の子の声

 

 

しかし女の子ほどの轟音ではなく

 

あまり声が出ていない

 

 

「ずるいよ!!〇〇ばっかり!!

 

 

 

 

いいぞ、その調子で泣いて、、、

 

 

 

 

 

 

 

 

気付いたら僕は部屋にいた

 

 

いつのまにか、2階の少しのスペースが

 

僕の場所になっていた

 

 

「、、、、、

 

 

座ってみる

 

 

、、、、?どうもしっくりこない

 

 

それから共用の部屋に戻り

 

二度と使うことはなかった。

 

 

別に部屋が欲しいわけではなかった

 

単純に自分の要求も通したかっただけだった

 

 

後になって自分のことを振り返ると

 

 

叫びまくって、泣きまくって手に入れても

 

あまり嬉しくなかった

 

 

そりゃそうだ

 

 

いつもそれで僕は仕方なく譲っているから

 

 

仕方なく、いい気分じゃない

それを知っているから

 

 

それに妹に対抗して何かを手に入れても

 

手に入れた瞬間どうでも良くなってしまう

 

 

本当に自分が欲しいものは何だろう?

 

 

本当に泣いてしまうほど、心から欲し今のは何だろう?

 

 

僕が欲しい場所は

 

 

狭くても、空調きいてて

テーブルとソファがある部屋です。

 

 

それも

快適に文章を書いて

 

 

人に喜んでもらえる文章かけたらなと言う想いです。

 

 

、、、、嘘みたいに聞こえるのかな

結構本気なんだけどな

 

 

こうやって断固として言えるのは

 

僕は人に対抗して何かを欲しがることを

 

あまりしなくなったからです。

 

 

泣くことは変わらず、泣いたりすることもあるけど

 

それは誰に対してではなく

 

 

ただ、泣くだけ。

 

 

人に対抗するんじゃなくて

本当に欲しいものは何だろう?

 

 

対抗して手に入れても、どうせすぐ飽きる

 

そして、対抗した相手はいい気分がしないことも知ってる

 

 

 

泣いて手に入れても、罪悪感しか残らない

 

 

そして手に入れたものも

何だか罪深いものに見えてしまうことも知っている

 

 

なので欲しいものは自分一人で必ず

 

 

欲しい景色を書いてみたり

 

実際に本で景色を見てみたり

 

また、1日経ってから見直したりして

 

 

必ず一人で計画を立ててやってます。

 

 

どうせ争って手に入れても

 

 

相手はいい思いをせず

 

自分自身も罰が悪い思いをするだけなので

 

 

どっちかといえば、自分が欲しいものを自分で調べて

 

で、1つ手に入れたら人にあげるほうがいい

 

 

そんで相手が喜んでくれたら

 

そっちの方がいいから

 

 

今も僕は泣きます

一人で

 

 

すぐに手に入るわけじゃないです

 

空調の効いた、テーブルと、ソファ

 

 

ずるいも何もない

 

僕が調べて、手に入れればいいじゃないか

 

 

争い、手に入れた場所は

 

今は使われることなく、埃をかぶっています。

 

 

一人で欲しいものを手に入れて

 

それを使って一人で勝手に人を喜ばせられることをやります。

手が出る転校先の子を黙らせたもの

学校の裏庭で

 

幅3メートルくらいの道を

 

男の子2〜3人が

 

一人の男の子に追われ

 

何やら笑いながら走っている

 

 

僕は一番後ろを走っていた

 

 

追ってくる男の子の腕が迫る

 

 

後ろに感覚

 

Tシャツ背中あたりを掴まれる

 

 

「12345....

 

 

僕は顔を上にあげ

 

走っていたスピードを緩める

 

 

「678910!

 

 

男の子がそれだけ早口で言うと

 

 

僕は完全に足を止めて

その場で座り込む

 

 

「よしっ!!

 

 

Tシャツをつかんだ男の子は

それだけいうと

 

 

何事もなかったかのように

他の男の子を追っていく

 

 

僕はその後ろ姿を

 

ただ、見つめていた

 

 

 

 

 

 

「行ってきまーす

 

 

新しい学校

 

新しい家

 

 

前の友達はもういない。

 

 

眠たい目を擦りながら

 

 

学校までの国道沿いの道を

 

 

10ぷんかけて歩いていた。

 

 

先頭には背の高い女の子

 

 

今日の授業はなんだったっけ?

 

 

隣の車道では

 

車がビュンビュンと通り過ぎていく

 

 

後ろでは何か話し声がする

 

前では先頭きって女の子が

 

前を向いて歩いていく

 

 

周りを見てみると

 

僕らと同じ塊が1.2

 

車道を挟んで何人かいる

 

 

漠然とした不安があった

 

 

 

いつもと違う人たち

 

違う学校

 

違う道

 

 

ただ、朝はみんなと同じように

 

前は前へ進んでいた。

 

 

 

 

 

「転校してきたoと言います。よろしくお願いします。

 

 

この時のことは今も覚えてる

 

 

まともに聞いていた人がほぼほぼいないのだ

 

 

みんな何か楽しそうに話していた。

 

 

4-1組

 

 

その看板がぶら下がった部屋の中で

 

 

僕は左端の机に座っていた

 

 

出席番号、o

 

 

いつも窓際

 

 

oという名前の紙が貼られた机に肘をつき

 

黒板の左側を見た

 

 

1.国語

 

2.社会

 

〜昼休み〜

 

3.算数

 

 

「やった、3時間目か

 

 

小声で呟きながら

 

 

人の話し声がする中にいた

 

 

 

 

 

 

 

窓から見える空が赤みがかってきた

 

 

今日は雨は降らなかったな

 

 

黒板は授業を終えて

 

 

赤だか、黄色だか、青だか

 

 

薄く色が残っている

 

 

 

黒板の右下

 

日直

 

 

僕の名前はない

 

 

掃除は彼らに任せようか

 

 

「お前、駄菓子屋行こうぜ

 

 

正直この辺りのことは覚えていない。

 

 

こんな言葉だったか

または違う言葉だったのか

 

 

または言葉なんてなかったのか

 

 

それはともかく、僕は気づいたら駄菓子屋に行き

 

逃げる彼を追いかけ

 

 

彼が持っていたひもきゅうをちぎって食べた。

 

 

 

それからか何があったのか分からないが

 

 

彼がかなり本気で殴るようになったのだ

 

しかも突然、なんの前触れもなく

 

 

彼が近づくと

 

僕は恐怖に戦いていた

 

 

このあたりで、僕は

 

 

同級生と近づくと

 

体に激痛が走ることが多くなった

 

 

拳を振り上げてくるのか

 

または足を体に振り回されるのか

 

 

ともかく体に痛みが走ることが多くなった

 

 

しかも一人じゃない

 

複数の人にだ

 

 

 

ある下校時間

 

 

yくんが悪ふざけなのか近づくと

 

また体が痛くなった

 

 

体の右の脇腹あたりだ

 

、、、?

なんだこれ?

 

 

本気でやってるのかな

 

まぁ笑ってるし、大丈夫なのかな

 

 

また次の日

 

 

また彼が近づくと

 

体に衝撃が

 

 

今度は右のうで

 

 

、、?

なんか、やだ

 

 

けど笑ってるし

 

まぁ、、、、ちょっとだけ嫌だけど

 

 

まぁいっか

 

 

また次の日

 

 

今度はかなり痛い衝撃

 

 

なんだ!!!

 

 

なんだろう、これ

 

 

痛い、やだ、怖い

 

 

でも笑ってるし、、、、いやでも、、、

 

 

まぁ、、、、、、、

 

 

また次の日

 

 

昨日よりも激痛

 

 

すると僕の体が先に動いていた

 

 

彼の上半身から押し倒し

 

 

仰向けにして

 

 

その上で馬乗り

 

 

目から溢れてやまない

 

 

腰を浮かして

椅子にドスン!と座るように

 

 

激しく、何度も着地する

 

 

「わああぁぁぁ!!!

 

 

いつもの登下校の道

 

 

車がビュンビュン通っている

 

 

道路沿いの人たちが立ち止まっているのを

 

 

今でも、鮮明に覚えている

 

 

ふと立ち上がり、帰り道

 

 

右足を前へ、左足を前へ

 

 

大きく、大きく

 

 

そして速く、前へ、前へ

 

 

後ろから迫ってきそうで怖かった

 

 

だから徒競走よりも

 

運動会よりも

 

 

どんな時よりも

 

足は前へ前へ進んでいた

 

 

 

 

 

 

その日から彼は僕に痛いことをしなくなった

 

 

むしろ話しかけてくるのだ

 

 

ドラクエゼシカのスキル何育ててる?」

とyくん

 

 

「ムチスキル

と僕

 

 

「え!ムチなの!?僕は杖!!

 

 

体育館に向かう途中のこと

 

今でも鮮明に覚えてる

 

 

 

それから小学生を終えるまで

 

体に痛い思いをすることもなくなった

 

 

 

以前の学校であった

 

 

友達と笑い合う時間

 

 

走り回る時間

 

 

これを取り戻したのだ

 

 

 

失踪記

 

 

すでに薄暗く、肌寒い

 

 

ただ、目の前に広がる大海と、空

 

 

空はオレンジ

 

快晴、雲がポツリと一つ

 

海は青黒く

うなって、形を変えていく

 

 

それを一人、僕一人で見つめていた

 

 

朱色、白のコンクリート

模様をなす

 

 

整えられた地面に

 

 

椅子を引くわけでも

立つわけでもなく

 

 

地べたに、体育座りで

 

 

ユニクロで買った

もこもこのコートを着て

 

 

所々破け

海と似たような色のコートを羽織って

 

 

指先に極寒の風を感じながら

 

 

ただ海を見つめていた。

 

 

当時の僕は

どうしてここにいるのか?

 

 

自分でもわからなかっただろう。

 

 

ただ、どこでもよかった

 

 

ただ、歩いた。

 

 

学校と自宅の行き来の日々から

 

家で誰とも話すことなくゲームをする日々から

 

授業の内容もよくわからず、友達もできない現実から

 

 

当時はよくわからなかったけど

これらから逃げ出したかったのかもしれない

 

 

ただ、体育座りして、空を見る

 

 

何見たくなかったのかもしれない

 

 

 

 

高校、ゲーム専攻

 

 

これが僕に与えられた役割

 

 

役割?

 

確かに入学時に

机を挟んで、先生と話した時

 

 

「翔吾はゲームが好きだから

と母の声

 

 

母が決め、僕はうなずく

 

 

本当に?

 

本当にゲームが好きなのか?

 

 

僕が高校に行っているのは

僕なのか?

 

 

僕が決めたのか?

どうなんだ?

 

 

母か?僕か?

 

 

ゲームを作る?僕が?

 

 

さっぱりわからない

 

 

高校の教室に毎日通っても

僕はどこか他人事に見えていた

 

 

なんだそれは?

プログラム?二進法?

 

 

習ってわかるが

 

 

それを僕はやりたいのか?

 

 

机に座り、授業を聞き

先生の話を聞いても

 

 

僕はやりたいのか?

それはわからなった

 

 

何より、授業の内容を

誰に話すこともなかった

 

 

母にも。

 

 

母が決め、放置

 

いや、本当に母が決めたことなのか?

 

僕も同意した

 

 

だけど、、、僕は別に

別段それがやりたいわけではなかった

 

 

それが本音だ。

それが僕だ。

 

 

自分自身の決断を

自分自身の人生を

 

 

自分自身が蔑ろにしていた

 

 

しかし僕に何ができよう

 

 

高校は勝手に決められ

同意を求められて適当に返事してしまう自分に

 

 

母は僕を考えてくれていたような気がしていた

 

しかし、本当に考えているのか?

 

 

いままで

 

学校の話

友達の話

部活の話

 

 

何にしても母と話して

楽しかった記憶がない

 

 

いや、母が悪いのではない

何にしても、自分の人生を蔑ろにする僕がいけないのだ。

 

 

高校に行くと決められ、僕に何ができよう

 

 

歩いて、学校じゃないどこかに行くことしか

この時はできなかった

 

 

 

 

 

 

「ゲーム専攻はこの時間割です!紙あとで見てねー!!

 

 

時間割、決められたこと

 

 

僕にはどうしようもないことだ

 

 

「げぇっ!めっちゃなげぇじゃーん!

 

「この時間どうする?

 

「木曜日は休みかー

 

 

いろんな声が聞こえる中

僕は一人で紙を見ていた

 

 

、、、、多くないか?

 

 

茫然と一人で時間割を見ていた

 

 

周りには

 

男二人で声大きく話す人たちや

女の子同士で何やら楽しそうに話している人がいる

 

 

 

僕は一人だった

 

 

 

「二進数は〜〜

 

ぼんやりと先生を見る

 

 

教室2個分くらいの、広い部屋

 

 

そこには机とパソコンがずらっと並び

それぞれに椅子が置いてある

 

 

生徒一人一人がそこに座り

一人一台、パソコンが使える

 

 

「では始め!!

 

 

ん?何か始まった気がする

 

みんなに合わせ、椅子をパソコンに向ける

 

紙が来たので

それ通りにやってみる

 

 

「、、、??

何だこれは

 

 

筆が止まる

 

 

周りを見渡してみると

皆無我夢中で書いている

 

 

無音の教室に響く

シャーペンの音

 

 

「、、、、、、、

 

 

筆が止まったまま、動かない

 

 

左手で頭を抱え

膝をつく

 

 

右手で持つペンは一切動かない

 

 

視点も動かず、ある一点を見つめる

 

 

Windowsの旗のロゴ

なんで4色なんだろう

 

 

「はい、回収します

 

 

ハッとし、目を起こす

ほぼ真っ白な紙を前の人に渡す

 

 

バツが悪い

目を伏せて次の人にプリントを渡す

 

 

すると一斉に立ち上がるので

僕も立ち上がる

 

 

「お前何食べる?

「俺はぁ!カレーが食べたい気分!

 

 

ああ、飯か。

 

 

僕は一人外に出て

コンビニで菓子パンを買い

公園で一人で食べるのだった